ご当地ワインと郷土料理&名産物㉗ 南半球:ニュージーランド その6

英国での売上げ上位を占める NZ産ソーヴィニョン・ブラン

ニュージーランド産のワインといえばソーヴィニョン・ブラン、と誰もが即座に答えるほど、ニュージーランド産のソーヴィニョン・ブランは有名になった。2017年に英国で実施されたワイン市場調査の結果、英国で最も売れているソーヴィニョン・ブランの上位は、ヴィラ・マリアVilla Maria(NZ)ブランコット・エステートBrancott Estate(NZ)ワイラウ・コーヴWairau Cove(NZ)、イスラ・ネグラIsla Negra(チリ)、オイスター・ベイOyster Bay(NZ)、カッシェロ・デル・ディアブロCasillero del Diablo(チリ)、オックスフォード・ランディングOxford Landing(オーストラリア)、マッド・ハウスMud House(NZ)と、ニュージーランド産のワインでほぼ占められていることが明らかになり、その人気の高さを改めて示した。

1980年後期に 彗星のように現れたワイン

ニュージーランドのワインを世界に広めるきっかけを作ったのは、クラウディー・ベイCloudy Bayのソーヴィニョン・ブランだった。1980年後期に突然ワイン市場に現れ、世界中のワイン品評会の金賞を奪い、ニュージーランド産ソーヴィニョン・ブランの存在を一気に知らしめた。このワインは、1985年にデイヴィッド・ホーネンが造った。ホーネンはオーストラリアのウェスタン・オーストラリア州マーガレット・リヴァーでケープ・メンテルCape Mentelleという赤ワインを造っていたのだが、オーストラリアは白ワインの生産には暑すぎると考え、ニュージーランドに渡り、マールボロ地区でソーヴィニョン・ブラン種を使って造ったのがこのワイン。この後、ホーネンはシャルドネ種から白ワイン、そしてピノ・ノワールから赤ワインも造った。さらに、アロマティックなブドウ品種では珍しく、フランス産のオーク樽を使って発酵並びに熟成させて造るテ・ココTe Kokoを発表し、ワイン市場を騒がせた。しかし、かなりの借金を負ってのプロジェクトだったことから、2003年にはブドウ園を手放すことになり、今はルイ・ヴィトン・モエヘネシーの傘下に入り、ヴーヴ・クリコがこのプロジェクトを担っている。現在、ソーヴィニョン・ブランの他に、シャルドネ、ピノ・ノワール、テ・ココ、テ・ワヒTe Wahi、そしてペロロスPelorusを造っている。ペロロスは、ヴーヴ・クリコの醸造チームによって、シャンパーニュと同じ方式で造られるスパークリング・ワイン。シャンパーニュと同じブドウ品種、シャルドネ(70%)とピノ・ノワール(30%)を使い、2年間、死んだ酵母と接触させて造る。フレッシュで熟した柑橘類とリンゴの風味を呈し、口当たりはクリーミーで、後味にナッツの風味を残すワインだ。 

シャンパーニュ地方の技術が生む 見事なスパークリング・ワイン

フランス・シャンパーニュ地方からの参入という意味では、他にドゥーツDeutzによる、ドゥーツ・マールボロ・キュヴェ・ブリュット・ノン=ヴィンテージDeutz Marlborough Cuvée Brut NVがある。このワインは、柑橘類と桃の風味のほか、煙、そして酵母の自己分解の風味(死んだ酵母によって生み出されるアミノ産の一種)を呈す複雑な香味のワインだ。また、シャンパーニュ・アレクサンドラ・ル・ブランをはじめ幾つかのメゾンを所有するブラン家から、ダニエル・ル・ブランDaniel Le Brunが送られ、ナンバー・ワン・キュヴェNo. 1 Cuvée、ナンバー・ワン・ロゼNo.1 Rosé、ナンバー・ワン・ファミリー・エステート・キュヴェ・ブラン・ドゥ・ブランNo. 1 Family Estate Cuvée Blanc de Blancs (Amathus にて25.42ポンド)といったNo. 1シリーズをはじめ、幾つもの見事なスパークリング・ワインを生み出している。
このほか、シャンパーニュと同じ方法で造られ、人気・評判ともに高いスパークリング・ワインには、ノーティラス・キュヴェ・マールボロ・ブリュット・ノン=ヴィンテージNautilus Cuvée Marlborough Brut NV(Amazonにて25.99ポンド)、そしてアラン・スコット・セシリア・リザーヴ・ブリュット・ノン=ヴィンテージAllan Scott Cecilia Reserve Brut NV(The New Zealand Houseにて22.99ポンド)がある。プロセッコの勢いに押され気味の市場ではあるが、このクリスマス&お正月に、ニュージーランドの素晴らしいスパークリング・ワインも試してみていただきたい。

週刊ジャーニー No.1114(2019年11月14日)掲載

ミヨコ・スティーブンソン Miyoko Stevenson

WSETディプロマ取得。Circle of Wine Writers会員。Chevalier du Tastevin(利き酒騎士)団員。Jurade de St-Emilion団員。Ordre des Coteaux de Champagne団員。国際日本酒利き酒師。The Guild of Freemen of the City of London会員。ワイン関連の訳書・著書あり。現在、ロンドンでワイン教室を主宰。
www.miyokostevenson.co.uk
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