何ゆえ、英国のVAT制度では
免除品がありますの?
愛するお父様へ
前文お許しくださいませ。
お父様、いかがお過ごしでしょうか? 早速ではございますが、今日は英国のVAT(付加価値税)制度にまつわるお話をご報告いたしますね。
先日、エドワーズ夫人が12歳を迎える孫のソフィーちゃんにお誕生日プレゼントを購入されるということで、お買い物にご一緒させていただいたときのことです。エドワーズ夫人と娘のサラさん、今回の主役のソフィーちゃん、わたくしの4人は、デパートの子ども服売り場に参りました。ソフィーちゃんはかなり背が高く、すでにわたくしとほぼ同じ身長があります(約162センチ)。12~13歳向けの洋服を数点試着してみたものの、どれもサイズが合いません。すると母親のサラさんが、「子どもが成長するのは本当に早いわね。VATのかかる洋服を着る年齢になったのね…」と感慨深げにつぶやかれたのです!
わたくしは驚いて「子ども服にはVATがかからないのですか?」と尋ねますと、「14歳未満の子ども用衣類や靴などは非課税なんですよ」とのこと。VATは日本の消費税に当たるものと理解しておりましたので、とても意外に思いました。ほかにも免除されているものがあるのでしょうか? 好奇心がわき、英政府のVATオフィスに問い合わせてみました。
唐突な質問にもかかわらず、親切に対応してくださった広報部の方によりますと、VAT(Value-Added Tax)とは「英国で消費される品物やサービスに課す税金」のことで、やはり英国で販売されているほとんどの商品に加算されているそうです。アトラクション等のチケット代やタクシー代などの交通費、レストランやカフェでの飲食費にも含まれており、わたくしたちは知らず知らずのうちにVATを支払っていることになります。ちなみに日本の消費税は8%ですが、なんと英国のVATは20%! 数字だけを見ると、その大きさにぎょっとしてしまいますけれど、実は日本と異なり、何から何まで課税されているわけではないとのこと。たとえば、食料品、書籍(新聞・雑誌を含む)、郵便、子ども用品などの「生活必需品」は非課税対象だとおっしゃっていました。
とはいえ厳密には、食料品でも生活必需品とはみなされないもの、つまり「贅沢品」「嗜好品」に当てはまるものにはVATがかかるのだとか。具体的に例を挙げますと、チョコレート、クリスプス(ポテトチップスのこと)、ジュースやミネラル・ウォーター類など。日本のように税表記はありませんので購入前に判断することは難しいのですが、レシートを見ると商品名の横に「V」と書かれていたりするので、それで確認できるとのことでした。
英国でVAT制度が導入されたのは1973年で、当時は「14歳未満の子ども用品はすべてVAT免除」とされていました。しかし、子どもの年齢が14歳未満である旨を証明することは容易ではなかったため、のちに年齢にかかわらずサイズでVATの対象商品か否かを分けることに決めたそうです。英国では、VATのかかる服を着るようになる=大人への第一歩という認識なのでしょうね。
それでは今日はこのへんで。お母様にもよろしくお伝えくださいませませ。
かしこ
平成29年1月30日 るり子