何ゆえ、ロンドンにはかように空港が沢山ありますの?
愛するお父様へ
前文お許しくださいませ。
お父様、いかがお過ごしでしょうか?
本日、お父様とお母様宛にクリスマス・プレゼントをお送りいたしました。お母様からのリクエストである「ハロッズ」の紅茶と「シャボネル・エ・ウォーカー」のチョコレート、わたくしが夏に旅行したポルトガルのお土産などを詰めた小箱が届くと思いますので、楽しみにしていてくださいませね。
さて今回も、新たに知りました英国の文化についてご報告したく、筆をとりました。
ロンドンで生活するメリットのひとつは、ヨーロッパへ気軽に旅行に出かけられること。わたくしもこの3年間で、フランス、ドイツ、チェコ、スペイン、ポルトガル等々、いろいろな国を訪れることができました。生まれて初めて格安航空会社も利用いたしましたが、その際に驚きましたのがロンドンにある空港の数です。日本(東京近郊の場合)では、国際便の発着地といえば羽田空港か成田空港の2択でした。しかしながら、ロンドンではヒースロー空港のほか、ガトウィック空港、スタンステッド空港、ルートン空港、シティ空港、サウスエンド空港と6つもあるのです!
一体なぜこんなにも多くの国際空港があるのでしょう? 不思議に思い、調べてみることにいたしました。
「空港マニア」のコメディアン、ジェイ・フォアマンさんによりますと、ロンドン最大の空港であるヒースロー空港は、中心部からわずか15マイル(24キロメートル)の位置にあり、周囲には住宅街が広がっています。そのため、第5ターミナルまであるものの騒音対策などの規制が大変厳しく、実際には滑走路は2つしかないそうなのです!
航空機を利用する旅客総数は、ロンドン全体で年間1億3000万人以上。ヒースロー空港だけでは対応できないため、第二次世界大戦時に英空軍(RAF)の基地であったガトウィック、スタンステッド、ルートン、サウスエンドの4ヵ所が、一般向けに国際空港として解放されることになったのだとか。空軍基地として使われていた当時、これらは「ロンドン基地」とまとめて呼ばれていたとのこと。ガトウィック空港はウェスト・サセックス、スタンステッド空港はエセックスなどロンドン市内からは少々離れた場所にあるにもかかわらず、「ロンドンの空港」とされているのは、こうした背景があったからだそうです。
ちなみに、シティ空港の歴史は一番浅く、オープンしたのはちょうど30年前の1987年。中心部からもっとも近く、ロンドン東部のウォーターフロント開発地区ドックランズにあります。ヒースロー空港以外では、唯一グレーター・ロンドン内にある空港になるとのことでした。
旧空軍基地を利用しているから、これほど空港が多いのですね。大変勉強になりました。それでは今日はこのへんで。お母様にもよろしくお伝えくださいませませ。
かしこ
平成29年12月3日 るり子
週刊ジャーニー No.1013(2017年12月7日)掲載