何ゆえ、英国では映画館によって料金が異なりますの?
愛するお父様へ
前文お許しくださいませ。
お父様、いかがお過ごしでしょうか?
早速ではございますが、今日はまた日本と英国の違いについてご報告したいことがあり、筆をとりました。
先日、コベント・ガーデンで友人とランチを楽しんだときのことです。彼女が「実は気になっている映画があるの」と熱心に話しはじめました。興味がわきましたので、わたくしも一緒に映画館へ行くことにし、携帯電話で映画館情報を検索いたしました。すると、レスター・スクエアやピカデリーなどの映画館で、目当ての映画が上映されています。上映時間を確認して、一番近い映画館へ向かおうとしたのですが、よく見てみますと、会場ごとに映画料金が異なるではありませんか! ある映画館では11ポンドですのに、別の映画館では15・30ポンド…。4・30ポンドも差があります!
日本では、どこの映画館でも料金はほぼ一律。そのため、行きやすい映画館を選択すればよかったのですが、一体どうして英国では料金がバラバラなのでしょうか? うっかり高い料金を支払いかねなかった状況に腹立ちが収まらず、調べてみることにいたしました。
英国映画協会(BFI)に問い合わせたところ、広報担当の男性が親切に対応してくださいました。彼のお話では、「映画館は民間の商業施設ですから、料金は映画館側が自由に決めることができるのですよ」とのこと。欧米では、各映画館が自由に料金設定を行うことが一般的なのだそうです! 映画料金が全国でほぼ均一という日本のシステムの方がとても珍しいようで、広報担当の男性は驚いているご様子でした。
また当然のことですが、映画館側も適当に料金を決めているのではなく、各施設の規模や設備、立地条件などに合わせて、妥当な金額を算出しているそうです。つまり、ロンドン中心部にある映画館ほど料金は上がる傾向があり、とくにハリウッド映画などのプレミア上映会が頻繁に開かれるレスター・スクエアの映画館の料金は、もっとも高い部類に入るのだとか。念のためにレスター・スクエアにある映画館「オデオン」のウェブサイトを確認しましたところ、同館では座席によっても料金が異なるようで、まるで劇場のように「ストール席」「ロイヤル・サークル席」と分かれており、ロイヤル・サークル席の料金はなんと20ポンドを超えていました…。映画館ごとに、これほどまで差があるものなのですね。
さらに、割引システムが多彩であることも教えてくださいました(「複雑」とも言えるかもしれませんが…)。平日と週末では料金が異なり、平日もオフピーク(午後5時まで)とピーク(午後5時以降)の時間帯で料金が変わるのだそうです。ほかにも、人気映画には「Blockbuster Prices」として、1~2ポンドの追加料金が発生する映画館もあるとおっしゃっていました。
これからは、事前にじっくりと料金を確認してから映画館へ行こうと思います。それでは今日はこのへんで。お母様にもよろしくお伝えくださいませませ。
かしこ
平成29年1月22日 るり子