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徳川るり子の細腕感情記Ⅱ

何ゆえ、英国は『グレート』ブリテンと 呼ばれますの?

2015年10月16日

徳川るり子

愛するお父様へ

前文お許しくださいませ。

お父様、いかがお過ごしでしょうか。お母様がしばらく風邪を引かれているとのこと、遠く離れておりますと、ただ心配するばかりで何もできない自分を不甲斐なく感じております。わたくしが日本におりましたら、おばあさま直伝の生姜湯を作って差し上げますのに…! どうかお大事にとお伝えくださいませ。

さて、本日もまた新たに知り得ましたことをご報告したいと思います。

改めて言うまでもなく、英国の正式名称は英語で、The United Kingdom of Great Britain and Northern Irelandでございます。日本では英国のことを「大英帝国」と呼称し、これに倣って日本のことを「大日本帝国」と自称しておりました時代もございますので、国の名前に「グレート(偉大な)」を含むことにいまさら驚きはいたしません。ですが、(心の中では思っていても)仰々しく言うのを美徳としない英国人らしからぬ表現のようにも感じます。

つい先日も、友人と、彼女のお勧めの料理番組「グレート・ブリティッシュ・ベイク・オフ」の話をしているなかで、この件が話題にのぼりました。彼女も、英国がなぜ「グレート」の文字を冠しているか、知りたいとおっしゃるので、思い切って調べてみることにいたしました。

どなたに質問すべきか迷い、まずは英語学校のスミス先生に尋ねてみることにいたしました。するとさすが長年教鞭をとっていらっしゃる先生、的確なお答えをいただくことができました。

スミス先生によりますと、「グレート=偉大な」ではなく、「グレート=大きい」という意味で用いられたのが始まりとのこと。2世紀中ごろの書物ですでにグレート・ブリテンを意図する言葉が記されていました。その中で、北大西洋に位置するブリテン諸島のうち、現在のイングランド、スコットランド、ウェールズのある島はもっとも面積が大きいことから、大きなブリテン島を意味する言葉で記し、現在のアイルランド島を小さなブリテン島としたのだそうです。

また、時代が下り、ブリテン島がアングロ・サクソン人の侵略を受け、ブリトン人の一部が現在のフランス・ブルターニュ地方に逃れたことも、「グレート」の由来として知られているとのこと。海の向こうで、ブリトン人の移り住んだ地を「Lesser Britannia」、もともと彼らの住んでいた島を「Greater Britannia」、つまり「大きいブリタニア」とし、区別したのだそうです。

少し余談になりますが、先にも記しましたように、グレート・ブリテンとは、北アイルランド以外の3国を指しますが、時に「英国」の意味で用いられることもございます。例えば、オリンピックの際に、英国の選手団をチームGBと称しておりました。ところが、英国選手団の中には北アイルランドの選手もいることから、「チームUKにすべき」との異論もあり、改変が提案されたようです。結局は、聞き入れられなかったとのこと。北アイルランドの選手は不満に思ったかもしれません。ですがスミス先生は、「グレートには『素晴らしい』の意味もありますでしょう。この名により、鼓舞された選手や国民も多かったのでは…?」とおっしゃっていました。それでは今日はこのへんで。お母様にもよろしくお伝えくださいませませ。

かしこ
平成27年10月13日 るり子



とくがわ・るりこ◆ 横浜生まれのお嬢様。名門聖エリザベス女学院卒。元華族出身の27歳。あまりに甘やかされ過ぎたため、きわめてワガママかつ勝気、しかも好奇心(ヤジ馬根性)旺盛。その性格の矯正を画する父君の命により渡英。在英3年2ヵ月。ホームステイをしながら英語学校に通学中。『細腕感情記』(平成6年3月~平成13年1月連載)の筆者・徳川きりこ嬢の姪。
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