何ゆえ、英国では騎馬警官の姿を いまだに見かけますの?
愛するお父様へ
前文お許しくださいませ。
先日お父様からいただいたお便りによりますと、わたくしの黒毛の愛馬「青嵐号」が体調を崩しているとのこと…心配でなりません。英国に参りましてから知ったのですが、英国の馬はどうやら「ミント好き」のようなのです。わたくしの通う乗馬スクールでも、インストラクターの方がネスレ社の「POLO」(中央に穴が開いたドーナツ形のミント菓子です)を馬たちに与えると、みな嬉しそうにポリポリと食します。日本では「POLO」は販売中止になってしまったそうですので、年末に帰国いたします際には、青嵐号のためにたくさん買って帰ろうと思っております。喜んでくれるといいのですが…。
さて、今日はまた日本と英国の違いについて、ひとつご報告したいことがあり、筆をとりました。
英国では、いまだに馬に乗った警察官(騎馬警官Mounted Police Officers)がカポカポと蹄の音を響かせながら街中を巡回しております。わたくしにとってはとても心和む風景でございますが、悠々と道路を歩む姿を目にするたびに、「罪を犯した方が自動車に乗って逃走したら、追いつけないのではないかしら…」と不思議に思っておりました。かつて自動車やオートバイが普及していなかった時代ならいざ知らず、騎馬による警備は現在でも実用的なのでしょうか? 日本の警視庁にあたるメトロポリタン警察に、思い切って電話をかけてみることにいたしました。
メトロポリタン警察の騎馬部(Mounted Branch)の方のお話では、現在およそ120頭の馬と150人の警官が騎馬部に所属しているとのこと。車両が入れない場所や、ハイドパークといった大きな公園の周辺を中心に、毎日3~4時間ほど巡回を行っているそうです。このほかにも大きく分けて3つの役割があり、① 祝賀や式典、葬儀のパレードの警備、② デモの発生やイベント開催時における警備、③ スポーツ会場での警備を担っているとおしゃっていました。
騎馬警官は「群衆」に対する警備において、柔軟性のある機動力として活用されているようです。馬は車両ほどの速度は出せないものの、車両よりも柔軟な動きが可能で、小回りも利き、必要に応じて群衆を威嚇することもできます。人間の身長よりも高い位置から周囲を俯瞰できるため、早期の状況把握にも便利とのことです。
また、暴徒化した群衆は警察車両に対しては容赦なく破壊行動を行っても、生き物である馬に直接的な危害を加えることはためらうので、遥かに少数のチームで群衆整理を行えるとか。騎馬警官は、過激なデモや暴動が起きやすい英国(欧米全体でしょうか)では必要な存在なのだと実感いたしました。
ちなみに調べてみましたところ、日本にも東京(警視庁騎馬隊)と京都(平安騎馬隊)に少人数ながら騎馬警官がおられるようです。皇居や京都御苑の周辺を巡回しているとのことですが、暴動などが発生しにくい日本では、出動の場があまりないために見かけないのかもしれませんね。それでは今日はこのへんで。お母様にもよろしくお伝えくださいませませ。
かしこ
平成27年10月5日 るり子



















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