何ゆえ、英国では8月15日を 「VJデー」と呼びますの?
愛するお父様へ
前文お許しくださいませ。
お父様、お変わりありませんでしょうか? 今年の英国の夏は平均より気温が低めであるようで、ひとたび天候が崩れると、上着を手放すことができません。日本の猛暑には毎年悩まされてきましたが、青い空に浮かぶ真っ白な入道雲や忙しなく鳴くセミたちの声が、今は懐かしく思い出されてなりません(とはいえ、日本に戻ればきっとこの英国の涼しさが恋しくなることでしょう…)。
さて、日本の8月といえば、お盆とともに近づいてくるのが終戦記念日です。今年は戦後70年という節目の年、しかも今後の日本のあり方を大きく変える「安全保障関連法案」が審議されている最中でもございますし、新聞やテレビでもさまざまな報道がなされていることと思います。英国でも、毎日のようにいずれかのテレビ局が戦後70年の特別番組を放送しております。
英国において、第二次世界大戦に関連する重要な日といえば「VEデー」と「VJデー」が挙げられます。VEデーとは「Victory in Europe Day」(ヨーロッパ戦勝記念日)のことで、5月8日がこの日にあたります。ナチス・ドイツが降伏した日として、今年は英国各地で祝賀イベントや大規模な式典が行われました。
お父様、ここまで申し上げればもうひとつの記念日「VJデー」とは何か、ご推察いただけるかと存じます。VJデーの「J」とは「Japan」の略で、「Victory over Japan Day」、つまり対日戦勝記念日なのです…! 恥ずかしながら、わたくしは英国に来て初めてこの言葉を知りました。ですので、VJデーについてもう少し詳しく調べてみることにいたしました。
日本は1941年12月8日に真珠湾攻撃を決行することによって、第二次世界大戦に参戦しました。ところがヨーロッパでは、ドイツがポーランドに侵攻した1939年9月1日から大戦は始まっており、1945年5月8日にドイツが降伏した後も、日本は連合国(英国・米国・ソ連など)と交戦し続けました。次々と枢軸国(ドイツ・イタリアなど)が戦線から離脱していく中で、最後に降伏したのが日本であったことから、日本が停戦命令を発布した8月15日を「VJデー」と呼ぶようになったそうです。
ちなみに、当時連合国に名を連ねていた国には、名称は違えどVJデーが設けられており、多くの場合が、ポツダム宣言を受諾した日本が降伏文書に調印した9月2日を記念日としています。
8月15日は英国人にとっても終戦記念日です。ただ、日本では命を落とした人々の冥福を祈り、二度とあの出来事を繰り返してはならないという思いを新たにする日であるのに対し、英国では大々的に勝利を祝う日。正直に申しますと、祝典ともいえるセレモニーが開かれることに衝撃を受けました。ですが、「立場が代われば物事の見方が変わる」ことを実感する、よい機会となった気もいたします。英国で暮らしはじめてからひしひしと感じておりました「歴史を学ぶ大切さ」を改めて実感した次第です。それでは今日はこのへんで。今回はいつにない真面目なお便りとなってしまいましたが、また次回からは元気な声をお届けしますね。
かしこ
平成27年8月10日 るり子



















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