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徳川るり子の細腕感情記Ⅱ

何ゆえ、英国では 郵便が紛失してしまいますの?

2015年2月26日

徳川るり子

愛するお父様へ

前文お許しくださいませ。

先日、近所のスーパーマーケットに参りましたら、生花コーナーに水仙の花が並べられておりました。水仙といえば、英国では春の到来を告げる花です。ひと束(10本)で1ポンドというお値段でしたので、ふた束を購入し、リビングルームとわたくしの部屋に飾って春の訪れを楽しんでおります。 さて、本日もひとつ調べたことをご報告したく思います。

エドワーズご夫妻は、ある週刊インテリア雑誌を定期購読されています。わたくしもいつも楽しみにしているのですが、どういうわけか先週号が届きませんでした。実はこうした事態は初めてではなく、届くべき雑誌が紛失してしまうことが時々あるようなのです。配達が遅れることもしばしばあり、ご夫妻はそのたびに発行元の編集部に問い合わせるものの、毎回同じ説明をお受けになるそうです。

編集部によりますと、毎週水曜日の午後5時に「ロイヤル・メール」(英国の郵便事業を営んでいる企業です)がオフィスまで直接集荷にくるとのこと。ファーストクラス(速達)扱いですので、ロンドン市内にある編集部からケンジントン・チェルシー地区のエドワーズご夫妻宅のもとへは、翌日の木曜日に届くべきなのです。しかし現実には、1~2日(ひどい時は3~4日)も遅れることが月に一度はあり、この種の度重なる苦情を他からも受けることから、編集部はロイヤル・メールに抗議し続けているようですが解決策が見つからない、ということです。

ですが、遅れるならまだしも「届かない」というのはどうしたことでしょう! 編集部の方は、定期購読者への発送には同社のデータベースから印字したラベルを宛名として使っているので、宛名間違いで紛失することはありえないとおっしゃったそうです。では、配達されなかった雑誌は一体どこにいってしまったのでしょうか? ロイヤル・メールに尋ねてみました。

ロイヤル・メールのカスタマー・サービス担当者のお話では、もし届くべき郵便物が配達されない場合は、郵便局で入手できる所定のフォーム(届け出用紙)にその旨を記入して投函してほしいとのこと。宛名の不備、ラベルや封筒の損傷により宛名部分が欠損して判読できない郵便物は、ロンドンであればクラークンウェルにある「マウント・プレザント集配センター」に集められるので、そこで届け出内容との照会が行われるそうです。また、集配センターに配送された郵便は、一定期間が過ぎると北アイルランドのベルファストにある「返送センター」に送られ、正しい配達先、あるいは差出人の手がかりを見つけるために開封されるのだとか。それでも何も発見できなければ、「配達不可能」として4ヵ月ほど保管された後、原則として破棄されますが、商品価値のあるもの(誕生日やクリスマス・プレゼントなど)はなんとオークションにかけられるそうです!

けれども、エドワーズご夫妻のケースでは、いつも同じラベルを使っているそうですから「宛名不備」とも思えませんし、雑誌が編集部に返送された形跡もござません。では、紛失した雑誌はどこに消えてしまったのでしょう…。結局、この点については納得いく返答をいただくことは叶いませんでした。紛失が嫌ならば、追加料金を払って書留郵便を利用しなさい、ということなのでしょうか。英国の郵便事情が改善されるのは難しそうです。それでは今日はこのへんで。お母様にもよろしくお伝えくださいませませ。

かしこ
平成27年2月22日 るり子



とくがわ・るりこ◆ 横浜生まれのお嬢様。名門聖エリザベス女学院卒。元華族出身の27歳。あまりに甘やかされ過ぎたため、きわめてワガママかつ勝気、しかも好奇心(ヤジ馬根性)旺盛。その性格の矯正を画する父君の命により渡英。在英3年2ヵ月。ホームステイをしながら英語学校に通学中。『細腕感情記』(平成6年3月~平成13年1月連載)の筆者・徳川きりこ嬢の姪。
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