徳川るり子の細腕感情記Ⅱ
2015年2月19日
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何ゆえ、見たい番組が減っても
同じ料金をTVライセンスとして
払わなければなりませんの?

徳川るり子の細腕感情記Ⅱ
徳川るり子

愛するお父様へ
 

 前文お許しくださいませ。
家族で伊豆の温泉へ出かけた1年前のことが懐かしく感じられる今日この頃でございますが、いかがお過ごしですか?
さて今日は、英国のTVライセンス(日本でいうテレビの受信料)についてご報告したいと存じます。先日、わたくしの友人と彼女のボーイフレンド氏とでお食事をしたときのことです。スコットランド出身の彼は大のゴルフ好きで、テレビ中継を楽しみにしておられるとのこと。ところが、ゴルフ界の四大トーナメントのうち、「マスターズ」の後半2日間と「全英オープン」を除く試合が、有料チャンネルの「スカイ・スポーツ」に放映権が奪われてしまっており、契約をしていないゴルフ・ファンは悔しい思いをしているのだそうです。そこにきて、今月新たに、全英オープンまでもがBBC(英国のNHKにあたります)からスカイ・スポーツに放映権が移ることが発表されたとのこと。実施されるのは2017年からのようで、「あと2年はまだ楽しめるものの、再来年から、BBCでの放映はハイライトのみとなってしまう…」と肩を落としていらっしゃいました。
ゴルフに限らず、サッカーなどの大きな試合の放映権をめぐり競争が繰り広げられていることは、以前からよく耳にしておりました。伝統を誇るテニスのウィンブルドン選手権大会も、来年まではBBCでの放映が決まっていますが、その先、BBCが放映権を獲得できる保証はございません。
以前はBBCで放映されていたものが、そうでなくなっても同じ金額(カラーテレビの場合で年間145・50ポンドです)をTVライセンスとして払わされ続けることに大変な不条理さを感じると彼がこぼしておられました。
このような不満に対してBBCではどう対処しているのでしょう。好奇心がわき、後日、BBCに問い合わせてみました。
対応してくださったのはBBCの「ライセンス・フィー・ユニット」の広報担当の方でした。その方によりますと、TVライセンスは、番組を受信できるテレビ、あるいはコンピューターなどの機器でテレビ番組を見る行為に課されるものなのだそうです(支払わずに見るのは違法で、罰金の対象になります)。もちろん、TVライセンスとして納められたお金はBBCのテレビおよびラジオの番組制作に用いられますが、視聴者がBBCの番組を見ているかどうかにかかわらず、すなわち、民放、衛星放送、ケーブルテレビだけを見ているとしても、TVライセンスを払う必要があるとのこと。言い換えれば、BBCの放映する番組の内容は、TVライセンスには関係ないということなのです。とはいえ、BBCには、その収益金をより有効に用い、より多くの人の希望に応える番組作り・放映権購入に励む義務があることは、言うまでもありませんが…。
ただ、例えばBBCのスポーツ中継番組が減ることを嘆く人もいる一方で、スポーツに興味がない人には、他のドキュメンタリーやドラマなどを見る機会がより多く与えられることになるわけですから、その人たちにとっては歓迎すべきことではありませんか、と言われ、なるほど、とも思いました。確かに、テレビ番組に関する好みや希望は千差万別。すべての人を満足させることなど、しょせん無理なことのようです。それでは今日はこのへんで。お母様にもよろしくお伝えくださいませませ。

かしこ 
平成27年2月15日 るり子

とくがわ・るりこ◆ 横浜生まれのお嬢様。名門聖エリザベス女学院卒。元華族出身の24歳。あまりに甘やかされ過ぎたため、きわめてワガママかつ勝気、しかも好奇心(ヤジ馬根性)旺盛。その性格の矯正を画する父君の命により渡英。在英5ヵ月。ホームステイをしながら英語学校に通学中。『細腕感情記』(平成6年3月~平成13年1月連載)の筆者・徳川きりこ嬢の姪。

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