
何ゆえ、バスの行き先が突然変更されますの?

愛するお父様へ
前文お許しくださいませ。
2月も半ばとなり、バレンタインデーが近づいてまいりました。日本では「愛を伝える日」として、女性が好意を寄せている男性へチョコレートを贈りますが、英国では「愛を確かめ合う日」として、恋人や夫婦でプレゼントやカードなどを贈り合います。エドワーズご夫妻も、互いに内緒で何やらご準備なさっているようです。わたくしもお父様に英国のチョコレートをお送りいたしましたので、楽しみにしていてくださいませね。
さて本日は、ロンドン名物のダブルデッカー(赤い2階建てバス)についてご報告したいと思います。
先日、エドワーズ夫人とバスで出かけた際のことです。20分以上待たされた後、ようやく1台のバスが到着いたしました。「やっと乗れましたわね」と喜んだのもつかの間、バス停をいくつか過ぎたところで突然「このバスは迂回します」との車内アナウンスが! 降りる予定でおりましたバス停には止まらず、大きく回り道されてしまいましたので、かなりの距離を歩いて戻ることになってしまいました。
「乗車する前、あるいは事前のバス停で教えて下されば、対処しようもございますのに…」と少々不満に思っておりましたら、昨日、再び同じような出来事に見舞われたのです。今度は「このバスの行き先を変更します。次のアナウンスをお待ち下さい」。何ということでしょう! 終点まで行くつもりでおりましたのに、勝手に行き先を変えられては困ります。結局、そのバスは途中で回送となったため、別のバスに乗り換えなくてはならず、お友達との待ち合わせに遅刻してしまいました。
寒い中、お待たせしたお詫びをしつつ、前回と今回の件について話しましたところ、そのお友達も似たような経験があるとのこと。彼女の場合は、あるバス停で「このバスはここが終点です」とのアナウンスが急に流れたそうです。一体どのようなシステムになっているのでしょう。ロンドン交通局に問い合わせることにいたしました。
広報のダン・マスケルさんによりますと、2008年から正式導入された運行監視システム(iBus)により、ロンドン市内を走るすべてのバス(約8700台あるそうです)が管理されているとのことでした。時刻表通りに運行できるように、GPS機能で車両の位置やスピードが認識され、事故・工事といった道路状況とあわせて算出された渋滞予測をもとに、なんとシステムが各バスに自動的に運行指示を出しているそうなのです! 行き先や次のバス停、迂回運行のアナウンスも基本的に自動放送されており、これらのアナウンスや、車内の電光掲示板にバス停名の表示がなされない場合は、システムが正常に作動していないのだとおっしゃっていました。突然の変更には、きちんとした理由があったようです。
「運転手はシステムの指示に従っているだけ」とのことですので、大変不条理に思いますけれど、運転手に腹を立てましてもどうやら無意味であることがわかりました。ちなみに、後続のバスに乗り換えなければならない場合、運転手に「transfer ticket」をもらっておけば、同じ路線のバスに限り無料で再乗車できるそうです。
それでは今日はこのへんで。お母様にもよろしくお伝えくださいませませ。
かしこ
平成27年2月8日 るり子
