2012年1月12日 No.710

●サバイバー●取材・執筆/本誌編集部

 

 

貴族社会のステキな産物

アフタヌーン・ティー誕生物語

ウォーバン・アビーのティー・ルームで注文できるアフタヌーン・ティー。
Blue Room: Reproduced by kind permission of His Grace the Duke of Bedford
and the Trustees of the Bedford Estates ©His Grace the Duke of Bedford
and the Trustees of the Bedford Estates. 

 

英国と言えば紅茶、紅茶と言えばアフタヌーン・ティー。
今号では最も英国らしさを感じさせる習慣のひとつ、
アフタヌーン・ティーの歴史をひもときつつ。
紅茶にまつわるあれこれもご紹介することにしたい。

 

貴婦人たちの午後のくつろぎ

 

 アフタヌーン・ティーという言葉には、いかにも英国的な響きがある。
 チリリーン。
 マダムが鳴らすベルの音を合図に、階下で待機していた使用人がバネ仕掛けの人形のように立ち働き始める。銀のお盆に乗せたティーセット一式をうやうやしく運んでくる執事とメイド。
 マダムはラウンジに揃った客人たちに、 「今日はお天気がよろしいようですから、お庭でいただきましょう」
 と、悠然とした笑みを浮かべつつ告げる。
 緑濃い芝生に、純白のテーブルクロスが映えてまばゆいばかりだ。庭のテーブルまで運ばせたアフタヌーン・ティーを楽しみつつ、よく手入れされた庭木や花々を愛でる貴婦人たち―。
 高視聴率を誇るテレビドラマ『ダウントン・アビー』にでも登場しそうな場面が、頭の中に広がっていく。
 様々な顔を持つ英国だが、アフタヌーン・ティーにはことさら上品でゆったりした貴族的なイメージがある。英国の魅力がたっぷりつまった習慣として、観光客に人気が高いのもうなずける。だが、もともと茶葉の育たない英国で、アフタヌーン・ティーは、どのようにして始まったのだろう?
 


アフタヌーン・ティーを『発明』した、第7代ベッドフォード公夫人アナ・マリアゆかりの
ブルー・ルーム(ウォーバン・アビーにて。詳しくは5ページ参照)。