古都ヨークに歴史的鉄道車両が集結! 国立鉄道博物館を征く

●征くシリーズ●取材、執筆/本誌編集部、ネイサン弘子

■荘厳な大聖堂や城壁、中世の古道「シャンブルズ」など、多くの見どころを擁する北イングランド屈指の古都ヨーク。この街には、世界中の鉄道ファンが憧れる「聖地」とも呼ぶべき博物館がある。歴史に名を刻む貴重な蒸気機関車から、懐かしい日本の0系新幹線、『きかんしゃトーマス』のキャラクターのモデルとなった名車まで—、鉄道ファンならずとも胸が躍る、近代鉄道発祥の地が誇る「国立鉄道博物館」の魅力を紹介しよう。

0系新幹線車内の様子
2001年にJR西日本から国立鉄道博物館へ寄贈された0系新幹線の車内で、新幹線の紹介映像を見る来場客。1964年に開業し、世界に「高速鉄道」という概念を浸透させた歴史的業績が評価されている。

鉄道とともに発展した歴史を持つ 古都に誕生した博物館

1877年の開業当時、世界最大の駅といわれ、現在もヴィクトリア朝の面影を残すヨーク駅に隣接するように建つ国立鉄道博物館。まずは、この博物館が、近代鉄道発祥の地である英国の首都ではなく、北イングランドの地方都市に開業した経緯を説明したい。

鉄道博物館の設立に関する議論が本格的に始まったのは1960年代のこと。この頃、産業革命を支え、英国の発展に大いに貢献した蒸気機関車や旧型車両が次々と廃車・解体され、鉄道網全体で幹線蒸気機関車の運行が終焉を迎えていた。多くの小規模な保存団体が役目を終えた車両や線路の一部を保存しようと奔走する中、国家規模でこれらの遺産を保持する必要があることは明らかで、新たな博物館の用地探しが始まった。議論の末、旧機関車庫(現在の博物館内のグレート・ホール)を有し、産業革命時代に北部鉄道網の要所であったヨークが選ばれた。

この決定はイングランド北部全域で大きな興奮をもって迎えられ、多くの人々はこれをロンドン以外にも国立博物館を広げるための重要な一歩と捉えた。反対派は、南ロンドンのクラパムか、クリスタル・パレスに建設予定の別の博物館を選定先に望んでいた。中には、観光客がヨークまで足を運びたいと思うかどうか疑問視する声さえあった。

論争を経て、最終的にヨーク案が採用され、1975年に開業。機関車庫時代の大型ターンテーブル(転車台)を活かした動態展示を行うなど、英国が世界に誇る産業革命の遺産を見事に保全し、世界の鉄道史を体感できる施設として、世界中から親しまれている。

団子鼻の新幹線、エレガントなハミルトン公爵夫人に会いに行こう!

昨年開業50年を迎え、現在も開館を継続しつつ、エントランスホールなどの改修工事が進行中の本博物館の一番の見所は、何と言っても実物の鉄道車両が所狭しと展示された「グレート・ホール」だ。歴史的でクラシックな車両が多い中で、特に目を引くのが昭和に活躍した日本の0系新幹線だ。団子鼻がキュートなこの新幹線は、その前で記念撮影する人がなかなか途切れないほど人気。この新幹線をはじめ、一部車両は中まで見学することが可能。英国生まれの絵本でテレビシリーズとしても人気の「きかんしゃトーマス」に登場するキャラクターのモデルになった汽車も見つけることができる。

グレート・ホールに隣接した「ノース・シェッド」は、鉄道に関するありとあらゆる物を展示する倉庫。古い駅のサイン、食堂車で使われていた豪華なディナーセット、模型から駅員の小道具まで、とにかく物の大洪水。この倉庫の上階にはビューイング・バルコニーがあり、ヨーク駅を発着する現役の列車を見ることができる。

「ワンダーラボ:ブラモールギャラリー」(有料)は、鉄道の背後にある科学をテーマに、様々な科学実験を体験できるとして好評を博している。空気力学を探求し、燃料について学び、ロケットを発射したり、巨大な機械に触れたり、地震に耐える構造物を設計したりしながら、エンジニアリングのスキルを試してみよう。

さらに、これまでに紹介した展示室とは別棟にあるのが、まるで映画のセットのような「ステーション・ホール」だ。19世紀後半〜20世紀初頭の「かつての実在した旅客駅」の雰囲気をそのまま再現した大型ギャラリーには、ヴィクトリア女王やエドワード7世、エリザベス2世などが実際に使用した貴重な「王室専用列車」が並び、貴賓室や寝室、豪華なインテリアを車外の窓やプラットホームから間近に鑑賞できる。また、プラットフォームにあるカフェではノスタルジックな雰囲気の中でドリンクや軽食を楽しむことができるのでおススメ。

この秋の学校のハーフターム休みに、ヨーク観光と合わせて訪れてみてはいかがだろうか?

博物館を代表する展示車両たち

Duchess of Hamilton

Duchess of Hamilton
「きかんしゃトーマス」の原作絵本に登場する大型高速蒸気機関車。1930年代に世界的なブームとなったアール・デコ調の流線型ボディ(クリムゾン・レッドに金のストライプ)を備え、英国の鉄道美の最高峰と評されている。

Mallard

Mallard
「きかんしゃトーマス」に登場する「スペンサー」のモデルである蒸気機関車「LNER Class A4 マラード」。世界最高速度記録(時速202.58キロ)を持つ伝説的存在。

Stirling Single

Stirling Single
大人の身長を優に超える巨大な車輪が特徴の蒸気機関車。「きかんしゃトーマス」シリーズで屈指の人気を誇るキャラクター「エミリー」のモデル。

Rocket

Rocket
世界初の本格的都市間鉄道「リヴァプール・アンド・マンチェスター鉄道」で使う機関車を決めるコンテスト(レインヒル競技会)で見事優勝した、ユニークな煙突を搭載したキュートな蒸気機関車(レプリカ)。

車両下部の見学

車両の下部や機関部分も間近で見られる。

他にもある 盛りだくさんの見所

Viewing Balcony & North Shed
North Shed
鉄道に関するあらゆるものを集めた大倉庫。
Viewing Balcony & North Shed
Viewing Balcony
ノース・シェッドの上階にあるバルコニーから右手のヨーク駅に出入りする列車をビューイング。
ヴィクトリア朝の面影を残すヨーク駅
ヴィクトリア朝の面影を残すヨーク駅
Station Hall
Station Hall
様々な時代の王室専用列車、1等・3等客車、食堂車、郵便配達車などがホームに停車している形で展示されており、鉄道黄金時代の雰囲気を感じることができる。
Miniature Railway
Miniature Railway
乗車できるミニチュア鉄道。線路沿いにある世界最大の機関車の車輪や壁画など、鉄道関連の遺物を眺めながらのミニライドを楽しもう。チケットはレセプションで購入可能。
TK Trading
Centre People
ロンドン東京プロパティ
Dr Ito Clinic
早稲田アカデミー
サカイ引越センター
JOBAロンドン校
Koyanagi

Travel Information
※2026年10月12日現在

National Railway Museum

Leeman Road, York YO26 4XJ
www.railwaymuseum.org.uk
#York

【開館時間】
毎日:10:00〜17:00
※12月24日〜26日は休館
【入場料】
▶無料(ネット予約推奨)
▶Wonderlab: The Bramall Gallery £8.60〜
▶Miniature Railway: £4、1歳以下無料

●10月24日〜11月1日:ハロウィン・イベントを開催。
●11月12日〜2027年1月3日:クリスマス・イベントを開催。

インフォメーション写真1
インフォメーション写真2
ヴィクトリア朝の面影を残すヨーク駅。
JEMCA
Kyo Service
J Moriyama
ジャパンサービス
らいすワインショップ
Atelier Theory
奈美デンタルクリニック
Toptour

週刊ジャーニー No.1466( )掲載