ワインにまつわる今月のトピック㉚ 番外編 スパ-クリング・ワインを使ったカクテル

スパークリング・ワインが 生み出す魅惑のカクテル

コロナの収束はまだ先のようだが、また年が明けた。用心しながらも、親しい人たちとの交流は大切にしたいもの。新春に集まる機会を計画している方々のために、食事前に味わいたいスパークリング・ワインを使ったカクテルとその由来を幾つかご紹介する。

■キール・ロワイヤルKir Royale
【材料】スパークリング・ワイン 90ml、クレーム・ド・カシス*1 15ml *1クレーム・ド・カシスcrème de cassis…フランスのコート・ドール産カシス(黒スグリ)を破砕してスピリッツを加え、その搾り滓を蒸留して熟成させたリキュール。

【作り方】フルート型シャンパン・グラスにスパークリング・ワインを注ぎ、クレーム・ド・カシスを加えて軽く混ぜる。

【名前の由来】仏ブルゴーニュ地方のディジョン市の市長だったキャノン・フェリックス・キールCanon Felix Kir(1876~1968)が、ブルゴーニュ産白ワインとクレーム・ド・カシスのブレンドを考案したのが始まり。白ワインの代わりにシャンパンを使ったカクテルが、オーストリアのウィーンで初めて造られ、キール・ロワイヤルと呼ばれるようになった。カシス・リキュールの代わりにフランボワーズ(キイチゴ)のリキュールを使うと「キール・インペリアルKir Imperial」、スロー・ジンを使うと「フォーティーセカンド・ストリート42nd Street」となる。

■ベリーニBellini

【材料】スパークリング・ワイン(通常はイタリア産発泡性ワインのプロセッコ)適量、ピーチネクター10ml、グレナデン・シロップ*21tsp *2グレナデン・シロップgrenadine syrup…ザクロの果汁と砂糖から作られたノン・ アルコールの赤いシロップ。

【作り方】フルート型シャンパン・グラスにピーチネクター、グレナデン・シロップをいれ、軽く混ぜてから冷やしたスパークリング・ワインで満たす。

【名前の由来】考案者は、当時王族や貴族、多くの有名画家たちが好んで通ったイタリア・ベニスの老舗「ハリーズ・バーHarry’s Bar」の経営者だったジョゼッペ・チプリアーノ。1948年に当時開催されていた、ジョヴァンニ・ベリーニ(Giovanni Bellini、1430年頃~1516年)の絵画展で目を引いた、彼の描いた聖人がまとう布の色を想わせるカクテルだとして、この名がつけられたと言われている。

■バックス・フィーズBuck’s Fizz

【材料】オレンジ・ジュース 60ml、シャンパン 60ml

【作り方】フルート型シャンパン・グラスに、よく冷やしたオレンジ・ジュースを注ぎ、シャンパンで満たす。

【名前の由来】英国のジェントルメンズ・クラブの一つ、「ロンドン・バックス・クラブLondon Buck’s Club」で、メンバーが早い時間からアルコールが楽しめるように、そこのバーマンMcGarryが気を利かせて、一見ソフトドリンクに見えるように作ったのが始まり(1921年)。その4年後に、パリでは「ミモザmimosa」の名前で流行。また、英国では、バックスフィーズはアルコール度が低いのでシャンパンの代わりとして結婚式でよく飲まれたほか、結婚式の参列者たちの酔いざましの酒として、翌日のブランチに出されていた。

■シャンパン・カクテルChampagne Cocktail

【材料】シャンパン 適量、角砂糖1個、アンゴスチュラ・ビターズ*31dash
*3アンゴスチュラ・ビターズAngostura bitters…ドイツ出身の軍医、シーガートが1824年、南米ベネズエラのアンゴスチュラにあった英陸軍病院で作った飲み物。ラムに、りんどうの根から取る苦味成分ジェンチアンなどを配合したもので、苦味が強い。今では、トリニダード・トバゴで生産されている。

【作り方】ソーサー型(浅い)シャンパン・グラスに角砂糖を入れ、アンゴスチュラ・ビターズを浸み込ませ、冷やしたシャンパンを注ぐ。

■ブラック・ベルベットBlack Velvet

【材料】シャンパン 150ml、ギネス・ビール150ml

【作り方】両方ともよく冷やしておき、フルート型シャンパン・グラスに同時に注ぐ。

【名前の由来】1861年、英国のジェントルメンズ・クラブの一つ、「ブルックス・クラブBrooks's Club」のバーテンダーが、夫君アルバート公の喪に服し、黒い衣装をまとうヴィクトリア女王を象徴して造ったのが始まり。シャンパン好きだった女王も好んで飲んでいたと伝えられる。シャンパンの代わりにサイダー(リンゴ酒)やペリー(洋ナシ酒)を使うと「プア・マンズ・ブラック・ベルベットPoor Man’s Black Velvet」と呼ばれる。

週刊ジャーニー No.1222(2022年1月13日)掲載

ミヨコ・スティーブンソン Miyoko Stevenson

WSETディプロマ取得。Circle of Wine Writers会員。Chevalier du Tastevin(利き酒騎士)団員。Jurade de St-Emilion団員。Ordre des Coteaux de Champagne団員。国際日本酒利き酒師。The Guild of Freemen of the City of London会員。ワイン関連の訳書・著書あり。現在、ロンドンでワイン教室を主宰。
www.miyokostevenson.co.uk
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