
ワインにまつわる今月のトピック㉚ フランスのスパ-クリング・ワイン事情 その3
風光明媚なロワール川流域で生まれるワイン
東京五輪が閉幕した。英国から熱い声援を送った読者も多かったことだろう。
さて、今月号でも引き続き、フランスで造られるスパークリング・ワインについてお送りするが、今回はロワール川流域に焦点を当てる。ロワール川はフランスで最も長く、地中海に近い中央山塊に源を発して北進し、オレルアン近くで西に折れ、ビスケー湾に流れ込む全長1100キロの川だ。全体の中で、西進する約600キロにわたる部分の流域周辺がロワールのワイン産地となっている。川に沿って歴史的なシャトー(城館)がいくつもたたずむこのエリアは美しい田園風景が広がり、「フランスの庭」と呼ばれ、世界遺産となっている。見どころとともに美味しいものも豊富であることから観光客に人気で、英国からの訪問者も多い。ユーロトンネルを使えば行きやすいので、コロナ終息後に是非、訪ねてほしい。
スパークリング・ワイン生産に適した気候
ロワール川流域では、甘口~辛口の非発泡性の白、ロゼ、赤ワインが造られる。北緯約45度とフランスでも北に位置するため、爽やかな酸味と低めのアルコール度を持つワインが多く、スパークリング・ワインの生産に向いている。
フランスではシャンパーニュ地方に次いでスパークリング・ワインの生産が多いことで知られ、ロゼ・ダンジューRosé d’Anjou、アンジュー・ペティヤンAnjou Pétillant、アンジュー・ムスーAnjou Mousseux、クレマン・ドゥ・ロワールCrémant de Loire、ソミュール・ペティヤンSaumur Pétillant、ソミュール・ムスーSaumur Mousseux、トゥーレーヌ・ムスーTouraine Mousseux、トゥーレーヌ・ペティヤンTouraine Pétillant、モンルイ・ムスーMontlouis Mousseux、モンルイ・ペティヤンMontlouis Pétillant、ヴーヴレ・ムスーVouvray Mousseux、ヴーヴレ・ペティヤンVouvray Pétillantが造られている。
名称で示される気圧の強さ
上記の名称に含まれる、アンジュー、ソミュール、トゥーレーヌ、モンルイ、ヴーヴレはいずれも生産地名で、そこに「クレマン」、「ムスー」、または「ペティヤン」と明記されているわけだが、それぞれ発泡性気圧の強さを示す。クレマンの場合には瓶内は最低3.5気圧、ムスーは最低3気圧、ペティヤンは1~2.5気圧と規定されている。このうち、ペティヤンは生産量が少なく英国では見かけないものの、現地を訪問した際には出会うこともあるだろう。
なお、ややこしいのだが、「ヴァン・ムスー」という言葉があり、これはシャンパーニュを含むスパークリング・ワインの総称名のことで、前述のように「ヴァン」がつかない「ムスー」は、瓶内のガス圧を示す言葉である点、間違えないようにしたい。
ロワールのスパークリング・ワインを造るブドウ

ロワールの白のスパークリング・ワインの場合は、主にシュナン・ブランChenin Blanc種から造られ(中には、シャルドネChardonnay種やソーヴィニョン・ブランSauvignon blanc種を使う場合もあるが)、ロゼの場合、ロゼ・ダンジューについてはグロローGrolleau種、他のロゼの場合には、主にカベルネ・フランCabernet franc種から造られている。また、モンルイとヴーヴレの場合、ラベルにモワルーMoelleuxと明記されると甘口。辛口の場合には、ブリュットBrut、あるいは極辛口ならExtra Brutと記される。
今回、特にお薦めしたいスパークリング・ワインは、ブヴェ=ラデュベ、クレマン・ドゥ・ロワール、ブラン・ドゥ・ブラン、ブリュットBouvet-Ladubay, Cremant de Loire, Blanc de Blancs, Brut 2018 (Majestic Wineにて17.99ポンド/www.majestic.co.uk)。生産者は約170年の歴史をもつ老舗。シャンパーニュと同じ製法で造られ、辛口で泡が細かく、花、梨、桃、リンゴ、そしてライムのゼストを思わす風味を呈す、フレッシュでバランスのとれたお買い得のワイン。英国では上院House of Lordsでも飲まれている。きりっと冷やして楽しんでいただきたい1本だ。
週刊ジャーニー No.1201(2021年8月12日)掲載











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