
ご当地ワインと郷土料理&名産物㉘ 南半球:オーストラリア その7

自宅でワインをより楽しむ好機
コロナウイルス禍により、南アフリカではアルコール類の流通を禁止したほか、多くの国でレストランやバーが一時閉店を強いられていたので、ワインの売り上げも停滞気味。しかし、ロックダウンの思わぬ『副作用』というべきか、自宅で手料理に合わせておいしいワインを楽しむ機会が増えたのではないだろうか。前回取り上げた、オーストラリアで最も高価なワインを造るペンフォールズPenfoldsに続き、今月からはオーストラリアで非常に美味しいワインを造る、優れた老舗4社(ブランド)を紹介しよう。
ブドウ栽培にも「適材適所」の考えを適用
今号でまずお届けしたいのは、ペタルマPetaluma。19世紀半ばに世界中のブドウ畑を荒廃させたブドウ根アブラムシ(フィロキセラ)の影響を免れたサウス・オーストラリア州にて1976年に設立された。
適した圃場(ほじょう)に適したブドウ品種を、という考えから、標高が400メートル以上で海風の影響を受ける温和な気候のアデレイド゙・ヒルズAdelaide Hills地区のピカデリー・ヴァレーPiccadilly Valleyにてピノ・ノワールPinot Noir種とシャルドネChardonnay種を栽培。より温暖なマウント・バーカーMount Barker地区ではヴィオニエViognier種とシラーズShiraz種を、そして日較差(昼間と夜間の温度差)が大きく、標高も高めのクレア・ヴァレーClare Valley地区でリースリングRiesling種を手がけている。さらには、石灰岩の下層がブドウ栽培に適した赤い土(「テラ・ロッサ」の名で知られる)で覆われたクーナワラCoonawarra地区にて、カベルネ・ソーヴィニョンCabernet Sauvignon種とメルロMerlot種をつくっている。造られたワインはすべて、Petalumaのブランド名にブドウ品種名を明記したラベルで売られている。
仏シャンパーニュの老舗が参入
1984年にはフランス・シャンパーニュの老舗ボランジェ社が40%の株を取得して参入し、ペタルマによるスパークリング・ワインの生産がスタート。ピカデリー・ヴァレー産のシャルドネとピノ・ノワール(シャンパーニュをつくるブドウ品種)を使い、シャンパーニュと同じ製造工程で1985年に初めてスパークリング・ワインを世に送り出した。1994年からは、ボランジェ・シャンパーニュを有名にしたリリー・ボランジェLily Bollinger夫人の甥、 ギラン・ドゥ・モンゴルフィエGhislain de Montgolfierがスパークリング・ワインの責任者を務めている。創業以来、受賞商品は数多く、2016年には、ペタルマ・シラーズ 2013が全日空国際線ファーストクラス用ワインに選ばれている。
夏を楽しみながら味わいたいワイン

英国では、幾つかの賞に輝いている、クリーミーな口当たりで、樽熟からくるバター風味、そしてグレープフルーツの果実香味を呈す白ワインのシャルドネ(28.99ポンド)=写真右=をマジェスティック・ワインMajestic Wine(www.majestic.co.uk)で購入することができる。
週刊ジャーニー No.1150(2020年8月13日)掲載