人工的な泡とアルコール発酵による泡の差

師走に入り、クリスマス・パーティーや忘年会、そして迎えるお正月と、発泡性ワインの人気がさらに高まるシーズンが到来。そこで、今回はお買い得でおいしい、年末年始にピッタリの発泡性ワインを幾つかご紹介することにしよう。
その前にまず、発泡性ワインの作り方を簡単に説明すると、 ①炭酸ガスを液体に注入する注入方式 ②密閉タンク方式 ③トランスファー方式 ④伝統方式 の4つの異なる醸造法がある。
①は、コカコーラなどのように、高気圧の環境下、二酸化炭素を液体に注入して造る。輸出されることはほぼなく、産地で消費される安価な発泡性ワインだ。
これに対し、②、③、④の方法では、アルコール発酵によって発生した二酸化炭素をワインの液体中にとどめるようにして造っている。つまり、②、③、④で見られる泡は自然な泡なのだ。
◆このうち、伝統方式はシャンパーニュを造る方式で、最も手間暇がかかるために値段も高くなる。
フランスのシャンパーニュ以外では、スペインのカバCava、フランスのクレマンCrémantなどがこの方式によって造られている。
◆密閉タンク方式で造られる発泡性ワインは、香りが芳しく、イタリアのプロセッコProseccoがその代表。
◆トランスファー方式を用いれば、伝統方式ほど手間がかからず大量生産できるが、伝統方式で造られるワインほど精妙ではない。
さて、最近のプロセッコの人気には目を見張るものがある。英国でも数年前からシャンパーニュを超える需要となっている。普通のProsecco DOC、そして、それより香味のしっかりしたプロセッコ・スペリオーレProsecco Superiore DOCGがある。後者には、コネリアーノConegliano、あるいはヴァルドッビアデネValdobbiadene(両方の名前が一緒に付くときもある)、またはアソロAsoloといった特に上質なブドウの産地名が付くものもある。

お薦め発泡性ワイン

飲みきれなかった場合には、ストッパーをして冷蔵庫に入れること。瓶内の二酸化炭素が残ったワインの表面を覆うので酸化しにくい。
◆ウェイトローズで買えるサン・レオ・プロセッコ・ブリュットSan Leo Prosecco Brut=写真左=は是非お薦めしたいプロセッコDOCのひとつ。「IWSC(International Wine & Spirit Competition)」のスパークリング・ワイン部門でブロンズ賞を獲得したこともあり、グレラ種特有のほのかに甘い花の香りを呈すフレッシュな果実香味と酸味のバランスのとれたライト・ボディのワイン。
アルコール度数は11%と低めで、値段も£11.99と大変手頃だ。大勢集まる時にはマグナム・ボトル(1.5l)がいいだろう(£21.99)。ちなみに、ハーフ・サイズ(375ml)もウェイトローズで購入可。
これに、ロビンソンズ・リアル・フルート&バーリー・ピーチRobinsons Real Fruit & Barley Peach(ウェイトローズやテスコ、Amazonで1本£1)を少量加えて、カクテルのベリーニ(Bellini)風にしてお洒落に飲むのも一案。

◆より格の高いプロセッコ・スペリオーレDOCGでお薦めしたいのは、マスキオ・スペリオーレ・エクストラ・ドライMaschio Superiore Extra Dry。より辛口で、パイナップルのようなトロピカル・フルーツを思わせる熟成した果実香味がリッチで、後味に柑橘類のゼスト風味が漂う芳醇なワインだ。モリソンズで£11。

◆誰にも教えたくないほどおいしいカバは、ジュヴェ・イ・カンプス・レセルバ・ファミリアJuve Y Camps Reserva Familia NV Cava=写真右。スペイン王室主催の晩餐会で供されるほど特別なカバ。シャンパーニュと同じ伝統方式で造られるのは前述の通り。ブドウ果汁は圧搾せず、自然に流下したものだけを使い、36ヵ月間熟成させてから出荷している。トーストとハニーのアロマをほのかに呈す白桃と柑橘類の風味が魅力的で、何しろ雑味がなく、タパスにもピッタリ。マジェスティック・ワインMajestic Wineで£15.99。 このワインよりやや軽いジュヴェ・イ・カンプス・レセルバJuve Y Camps Reservaはウェイトローズで£11.99。

◆ロゼの発泡性ワインなら、マークス&スペンサーのグレアム・ベック・ローナ・ブリュット・ロゼGraham Beck The Rhona Brut Rosé =写真右=が断然お薦め(£12)。グレアム・ベックは南アフリカで最も有名な発泡性ワイン生産者で、シャンパーニュと同じブドウ品種、ピノ・ノワール種とシャルドネ種を使い、手摘みで収穫し、シャンパーニュと同様の伝統方式で醸造している。「International Wine Challenge」では、ロゼ・スパークリング・ワイン部門において銀賞を獲得している。うっとりするようなかわいらしいピンク色を帯び、ほのかにブリオッシュと青いリンゴ、そしてサマー・プディングのアロマとフレーバーを呈す。アルコール度数は12%。華やかなパーティーの幕開けにもってこいのワインといえる。
では、お気に入りのボトルを見つけて、すばらしいクリスマスと来たる新年のために乾杯!

週刊ジャーニー No.1065(2018年12月13日)掲載

ミヨコ・スティーブンソン Miyoko Stevenson

WSETディプロマ取得。Circle of Wine Writers会員。Chevalier du Tastevin(利き酒騎士)団員。Jurade de St-Emilion団員。Ordre des Coteaux de Champagne団員。国際日本酒利き酒師。The Guild of Freemen of the City of London会員。ワイン関連の訳書・著書あり。現在、ロンドンでワイン教室を主宰。
www.miyokostevenson.co.uk
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