アクアパッツア。カッコいい響きとは裏腹の切ない話

アクアパッツア。魚介類をトマトやオリーブオイルなんかと一緒に煮込んだイタリアの家庭料理ですね。タラや鯛など白身魚と一緒にトマトやアサリ、キノコなんか入れて白ワインをふり、ホイルに包んで蒸し焼きにすれば何となくそれっぽいものが完成、という手軽さが受けて最近ではバーベキューの際にグリル台に乗っけて作っている人たちも多いようです。例によって「アクアパッツア」というネーミングがどうにもかっちょいいんだけど、意味を知ると全然かっちょ良くありませんでした。それどころかどこか切ない。その昔、トスカーナ地方の小作農たちは収穫したワイン用のブドウは全て地主様に差し出さなければいけませんでした。小作人たちの手に残ったのは実が割れたブドウや茎や枝など。これらを集めて大量の水で煮てテラコッタの壺に詰めて数日発酵させるとうっす〜いワインができたんだとか。小作人たちはこんなうっす〜いワインでも有難がって飲んでいたんだとか(涙)。このほとんど水のような飲み物こそが「アクアパッツア」であり「水で薄めたワイン」といった意味あいだったようです。じゃ、なんでこれが魚料理の名前になったかと言うと、ある日ナポリの漁師がその日釣って来た魚にトマトや白ワインを加えて煮込んだら味はいいものの微妙な赤色の仕上がりとなり、思わず「これじゃまるでアクアパッツアみてえじゃねえが」と言ったところから魚介類をトマトやオリーブオイルで煮込む料理が「アクアパッツア」として全国に広まっていったんだとか。そう。つまりオリジナルは「水のようなくずワイン」。本来は決して高級レストランで姿勢を正していただくような一品ではなさそうです。ここでは誰がどうやったってワインの茎や枝を煮込んだオリジナルのアクアパッツアより美味しくできるレシピをご紹介しています。これを見ながら作ってオリジナルアクアパッツアより不味くなったらむしろあなたは天才かも。もしくは一度病院に行った方がいいかもしれません。天才か病院か、知るためにもよろしかったらぜひ一度イタメシください。

「タラときのこのアクアパッツア(ホイル焼き)」

cookbuzz編集部(D)