アフタヌーンティーが供されるパーム・コート。夏でも肌寒い日が少なくないスコットランドだけに、人々の南国への強い憧れを表した空間といえそう。ただし、あくまで上品かつエレガント。
© The Balmoral, a Rocco Forte hotel in Edinburgh

ロンドンのキングズ・クロス駅から列車で約4時間。英国北部の一大都市、エディンバラに着く。ご承知のとおり、英国はイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4つの「国」からなる連合王国。エディンバラはスコットランドの首都であり、ロンドンとはいわばライバル関係にある。ロンドンに劣らぬ長い歴史を誇り、発展を遂げてきた。

巨大な岩の上に築かれた要塞でもある、エディンバラ城。

エディンバラは、エディンバラ城とホリルード宮殿を有し、このふたつをつなぐロイヤル・マイルという通りを中心としたオールド・タウン(旧市街)と、ロイヤル・マイルとほぼ並行に走るプリンセス・ストリートを目抜き通りとして広がるニュー・タウン(新市街)からなる。今回、取材先に選んだ5つ星ホテル、ザ・バルモラルはそのプリンセス・ストリート1番地に位置する。エディンバラ城とならび、すべての観光客のスマートフォンに画像としておさまっていると断言できるほどの、ランドマーク的存在だ。

プリンセス・ストリート1番地(正確な発音は「プリンスィーズ」)で圧倒的な存在感を示すザ・バルモラル。なお、この通り名の「Princes」は「王子」の複数形で2人の王子のこと。すわなちジョージ王子Prince George(のちのジョージ4世)とフレデリック王子 Prince Frederickのことを示すという。

同ホテルはエディンバラの中央駅、ウェイヴァリー駅のすぐ上に建ち、道に迷いようがないという好立地にある。もともと、ロンドン~エディンバラ間の鉄道を運営していたノース・ブリティッシュ・レイルウェー・カンパニーが建設したホテルで、「ノース・ブリティッシュ・ステーション・ホテル」として1902年に完成。開業時から、同ホテルのクロックタワーの大時計は常に3分進めてあるという。ウェイヴァリー駅の利用客が列車に遅れないようにと、その伝統は今も変わらず引き継がれている。

1988年からの3年にわたる大改装を経て「ザ・バルモラル」に改称。1997年、世界的な名門ホテルグループであるロッコ・フォルテ・グループの一員となった。

今回、取材班が訪れたのはザ・バルモラルの「パーム・コート」。同ホテル内で、アフタヌーンティーを供するためだけに使われているぜいたくな空間だ。すりガラスで覆われたドーム型の天井からはやわらかな自然光が入り、中央のヴェネチアングラスの豪しゃなシャンデリアの下に設えられた、幾百ものライトで光り輝くモダンなツリー型オブジェが華やかさをそえている。

アフタヌーンティーの「前菜」。この日はビートルートの冷製スープ。美味。

内装はコロニアル風(直訳すると「植民地風」となってしまうが)だが、エレガントさと居心地の良さを兼ね備えている。小さな「前菜」といえるアミューズ・ブーシュ(Amuse Bouche)から始まり、紅茶をテイーポットに注ぐセレモニーが行なわれる。セレモニーの際、スマートフォンをご用意ください、と言われて思わず苦笑。スマートフォンでの撮影については、むしろホテルの良い宣伝になると心得て推奨するおおらかさがあり、取材班も遠慮なく撮影させてもらった。

ハープの生演奏が心地よい音量で流れる中、セイボリー、サンドイッチ、スコーン、ペイストリー(ケーキ類)へと続く。どれもレベルが高く、弊誌の「はずさないレストラン」のように星をつけるとすれば、間違いなく4・3(過去に4・4をつけた店はまだない)。雰囲気、サービスとも高得点で、幸せな時間を約束してくれるはずだ。

エディンバラ滞在時に、一度試してみてはいかがだろうか。

取材時期がイースターとかさなったため、この日のアフタヌーンティ-のテーマは「イースター」。スコーンとともに、イースターには欠かせないホット・クロス・バンも登場。ホット・クロス・バンも一流パティシエの手にかかると、ここまで洗練されたものになるのかと、取材班も思わず感嘆。
ペイストリーは季節、イベントにあわせて定期的に変わる。この日のペイストリーにはイースター(シンボルのひとつは、生命を表す「卵」)にからめた「エッグ&ソルジャー」も含まれていた。茹で卵を模したケーキ(卵のカラは本物!)はスポンジ、ムースなどからなり、トーストに見立てたショート・ブレッド付き。
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Travel Information ※情報は2025年6月10日現在のもの。

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マップ

The Balmoral,
a Rocco Forte hotel in Edinburgh
ザ・バルモラル

1 Princes Street, Edinburgh EH2 2EQ
Tel: 0131 556 2414
www.roccofortehotels.com/hotels-and-resorts/the-balmoral-hotel

人気の高い、JKローリング・スイート。
JKローリングはこの部屋にこもり、『ハリー・ポッター』シリーズの第7巻にしてシリーズ完結編である『Harry Potter and the Deathly Hallows(邦題:ハリー・ポッターと死の秘宝)』を書き上げた(英国などでは2007年、日本では2008年発行)。© The Balmoral, a Rocco Forte hotel in Edinburgh
JKローリング・スイートには、同氏が原稿完成を記念して署名した大理石の胸像が今も飾られている。

■ザ・バルモラルの前身、「ノース・ブリティッシュ・ステーション・ホテル」建設にあたって、ノース・ブリティッシュ・レイルウェー・カンパニーは建築プランを公募。1895年、ウィリアム・ハミルトン・ビーティーWilliam Hamilton Beattieのデザインが採用され、建設が始まったもののビーティーが志半ばで逝去。 助手だったアンドリュー・ロブ・スコットAndrew Robb Scottが後を引継ぎ完成させた。

■ザ・バルモラルの外観に使われているのは北部イングランド産のサンドストーン(砂岩)。かつて、人々の生活を支えていた石炭の煤のせいと思われるが、同ホテルをはじめ街並み全体が少し黒みがかっており、これがエディンバラ独特の落ち着きのある雰囲気を醸し出している。ちなみにエディンバラのニックネームは、「Auld Reekie」で「 Old Smoky」という意味。

■ザ・バルモラルは20のスイートを含む187の客室を有し、スパ、サウナ、長さ15メートルの屋内プールなどを備えるほか、本格派レストラン「ナンバーワン」、少しカジュアルな「ブラッセリー・プリンス」、「バー・プリンス」などで人々をもてなす。「スコッチ」と呼ばれるバーでは、500種類以上のスコッチ・ウィスキーが勢揃い。

■パーム・コート Palm Court
ティー&コ-ヒー 毎日 9:00~11:30
アフタヌーンティー 毎日 12:00~ 17:00

クラシック・アフタヌーンテイー
ひとり67.50ポンド
(シャンパン付きはひとり82.50ポンド~)
※サッカーやラグビーなどのロゴ入りシャツ、ビーチサンダル、短パンは禁止。

 


週刊ジャーニー No.1397(2025年6月12日)掲載

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