パチパチと薪の爆ぜる音とともに炎が揺れる暖炉、座り心地のよさそうな革張りのアームチェア、色とりどりのクッション、壁や棚に飾られた絵画や骨董品…。100年近く前に時間が巻き戻ったかのように感じられる場所、それがマリルボーンにある「ゼッター・タウンハウス」だ。
ブティックホテルやレストランを経営するゼッターグループが手がけた、知る人ぞ知る「隠れ家」的ホテルで、18世紀に建てられたジョージアン様式のタウンハウスを利用しているため、外観からは「ホテル」だと気づかない。しかし思い切って扉を開けてみると、非日常的ながらも暖かみのある、でも少々不思議なプライベート空間が現れる。
このタウンハウス・シリーズは、現在ロンドンに2軒ある。最初にオープンしたのはクラーケンウェル(2004年)で、その独特の雰囲気に魅了された多くのファンの期待に応え、2011年にマリルボーンにも誕生した。
「隠れ家」的ホテルだけあって、クラーケンウェルは「ウィルヘルミナおばさま」の家、マリルボーンは「シーモアおじさま」の家がテーマ。当然ながら両者は架空の人物だが、それぞれの人物像にあわせた内装に仕上げられているのが興味深い。
たとえば、世界中を旅するのが趣味のシーモアおじさまの家は、古代ギリシャ・ローマ建築の破片や石彫、東方の銀食器、中国の磁器など、彼が集めたコレクションで埋め尽くされている。ホルボーンにある、奇才建築家ジョン・ソーンの自宅(現在は博物館として公開)を彷彿とさせるような、少々エキセントリックな収集・展示癖が見え隠れし、暖炉のそばで紅茶を飲みながら、訪問客に「若き日の武勇伝」を熱心に語るおじさまの姿が見えてくるようだ。
このホテルで楽しめるアフタヌーンティーも一風変わっており、おばさまとおじさま用の2種類のメニューから選ぶことができる。両者のメニューで異なるのはサンドイッチ。おばさまはキュウリやスモークサーモンを挟んだ伝統的なサンドイッチでもてなすのに対し(写真右の右端)、おじさまはスコッチエッグやポークパイといった男性好みの「ガッツリ系」を提供する(同左端)。
セルフリッジズから徒歩5分。ショッピングを満喫した後、裕福な大おじさまの隠れ家で、優雅な午後のティータイムを過ごしてみては?

アフタヌーンティーのケーキメニューは、(左から)ラズベリー&ローズ・マカロン、ラムシロップをたっぷり使ったジンジャーブレッド、ピーナツ&チョコレートのミニシュークリーム。

ゼッター・タウンハウス・マリルボーンの「シーモアズ・パーラー」。コーヒーやカクテルだけを注文して、ゆっくり過ごすのもOK。

食器は中華風のデザイン。紅茶の種類はイングリッシュ・ブレックファスト、アール・グレイ、カモミール、ジャスミンなど9種類。

The Zetter Townhouse Marylebone

28-30 Seymour Street, London W1H 7JB
TEL: 020 7324 4544
www.thezettertownhouse.com/marylebone

Afternoon Tea

12:00~17:00(日曜は18:00まで)、要予約
Aunt Wilhelmina's / Uncle Seymour's
※ベジタリアン・メニューもあり。
・Selection of Teas...£35.50
・Tea infused cocktails...£43
・Bubbles...£45.50

週刊ジャーニー No.1079(2019年3月28日)掲載