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2011年3月10日 No.667

 

おすすめワイン産地めぐり⑰   英国産ワインの旅

 

 

英国でもワインが造られる?


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左から シャルドネ種 / ピノ・ノワール種©Badener
実は、英国には416のブドウ園がある。ブドウ園の多くはケント州やサセックス州といった英国南部に集中しているが、リンカン州やヨークといった中・北部、サウス・ウェールズのような西部地方にも存在している。特に英国南部地方の気候は、フランス北部に似ているのだという。しかし、その大半は規模が小さいため、ブドウの多くは設備の整った116のワイナリー(醸造所)に送られる。英国では約1,300ヘクタールあるブドウ畑から、年間160万本の白ワイン(発泡性ワインも含む)、そして40万本の赤ワインを産出している。うち、上質ワインと呼ばれるものは全体の50%ほどだ。上質ワインには、ラベルに「English Vineyards Quality Wine(イングランド産)」、 「Wales Vineyards Quality Wine(ウェールズ産)」とそれぞれ表記される。ちなみに、「British Wine」と書かれたものは、輸入された凝縮ブドウ果汁を用いて英国で造られたワインのこと。

 

ルネッサンス期を迎えた英国産ワイン

「もともと英国にブドウ栽培を紹介したのは古代ローマ人」というのが通説ながら、実は根拠とされる史実は少ない。ただ、英国初の土地台帳である「ドゥームズデー・ブックDoomesday Book」(1086年に英国王ウィリアム1世が作らせた)には、46のブドウ園名が記帳されている。また、ヘンリー8世(在位1509~1547)の時代には、国王、教会、貴族が136のブドウ園を所有していたとの記録が残っている。しかしながら、その後、戦争、気候の変化などによって、英国でのワイン造りは次第に衰えていった。ようやく復活の兆しが見え始めたのは第2次世界大戦後のこと。1951年に、ソールズベリー=ジョーンズ卿Sir Guy Salisbury-Jones)がハンブルドンHambledon(ハンプシャー)にて商業規模でワイン生産を行うようになったのが、英国近代ワイン産業の始まりと言われている。その後、近年の地球温暖化に加え、また欧州連合EUからの援助もあり、英国でのワイン産業は『ルネッサンス期』(復興の時代)を迎えようとしている。

 
シャンパーニュにもひけをとらない商品が登場

 

英国では、約50種類ものブドウ品種が栽培されている。2007年の統計によると、英国で最も多く栽培されているブドウ品種は、ピノ・ノワールPinot Noir種(黒)、次がシャルドネChardonnay種(白)。そして、バッフスBacchus(白)、この後、ライヒェンシュタイナーReichensteiner(白)、サイヴァル・ブランSeyval Blanc(白)、ミュラー・トゥールガウMuller-Thurgau(白)、マドレーヌMadeleine X アンジェヴィーヌAngevine 7672(白)、シェーンブルガーSchburger(白)、ロンドRondo(黒)、ピノ・ムーニエPinot Meunier(黒)、オルテガOrtega(白)、フクセルルーベHuxelrebe(白)、フェニックスPhoenix(白)と続く。特に最近では、ピノ・ノワール種、シャルドネ種、ピノ・ムーニエ種といった、フランスでシャンパーニュを造るために育てられる品種の栽培が増えている。英国産スパークリング・ワインは高く評価されており、ブラインド・テースティング(銘柄を隠して行うテースティング)ではシャンパーニュと区別するのが難しいほど、優れた品質のものが造られるようになっている。それに目をつけ、他社に先んじて自社スパークリング・ワインの生産を試みているのが、スーパーマーケットの大手、「ウェイトローズWaitrose」だ。 ウェイトローズは2009年5月19日に自社の所有するレックフォード・ファームLeckford Farm(ハンプシャー)にブドウ畑を築いた。来年収穫されるブドウを使って、再来年に店頭で紹介する見込みという。さらに、最近では、「Sparkling Wine Championship 2010」で450種類出品されたロゼ部門で、英国の、カメル・ヴァレーCamel Valley=写真下=のロゼが最優秀賞に選ばれた。このほか、英国スパークリング・ワインで有名なものには、、ナイティンバーNyetimber、リッジヴューRidgeview、チャペル・ダウンChapel Downがある。 5月29日~6月6日は、イングリッシュ・ワイン・ウィーク。英国にあるほとんどのブドウ園が一般に開放される。その季節は英国の最も美しいシーズンでもある。是非、ドライブがてら、訪ねてみてはいかがだろう(詳しくは、www.englishwineweek.co.ukでどうぞ)。

 

ミヨコ・スティーブンソン Miyoko Stevenson
Chevalier du Tastevin(利き酒騎士)団員。Jurade de St-Emilion団員。
International Wine Challenge審査員。Slow Food審査員。
ワイン関連の訳書・著書あり。現在、ロンドンでワイン教室を主宰。
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