ご当地ワインと郷土料理&名産物㉒北米・カリフォルニア その6 

ボルドーの知識と技術が注がれたカルト・ワインたち

カリフォルニア・ワインの中で最も有名なものといえば、オーパス・ワンOpus One。これを皮切りに、ヨーロッパ伝統技巧に革新技術を施して創り上げられる同州のカルト・ワインが世界に知られるようになったわけだが、今回はそのカルト・ワインについてお届けする。
まずは、オーパス・ワン。これは、カリフォルニア・ワイン界で著名なロバート・モンダヴィRobert Mondaviと、仏ボルドー・一級格付けのシャトー・ムートン・ロッチルドChâteau Mouton Rothschildのオーナー、フィリップ・ド・ロッチルド男爵Le baron Philippe de Rothschildの2人の巨匠によって1978年に創り上げられた合弁事業で誕生。1984年に1979年ものと1980年ものが市場に初めて紹介された。オーパス・ワンとは音楽用語で「作品番号1番」という意味だが、「1本のワインはシンフォニー、1杯のグラスワインはメロディー」というフィリップ男爵の発想によって命名された。カベルネ・ソーヴィニョン種が主体。現在、2014年ものの値段は1本約5万円。
同じくボルドーからもう一人、カリフォルニアでカルト・ワインを造り上げた人物を取り上げよう。その人物とは、フランスでも最も高価なワイン、ペトリュスPetrusを含む幾つかのシャトー・オーナーであるクリスチャン・ムエックスChristian Moueix。1982年に、ナパ最古と言われる優良畑、ナパヌック・ヴィンヤードNapanook Vineyard(1836年創業)にて合弁でドミナスDominusを創り上げ、1995年から単独オーナーとなっている。主体品種は、やはりカベルネ・ソーヴィニョン。2014年ものは1本4万5,000円。

生産量を抑えてアピールする高価なワイン

カリフォルニアのカルト・ワインで一番値段が高いのはスクリーミング・イーグルScreaming Eagleだろう。このワインは1986年に、不動産事業者ジーン・フィリップスJean Phillipsがオークヴィル・ヴィンヤードOakville Vineyard(26ヘクタール)を買収したことから始まった。この畑で生産されるブドウの多くは他のワイナリーに売られていたのだが、ほんの400平方メートルに植えられた80本の樹から生まれるカベルネ・ソーヴィニョンのすばらしさに気づき、ハイディ・ピーターソン・バレット女史Heidi Peterson Barrettをワインメーカーとして迎え、年間約500ケースだけ造ったのが、このスクリーミング・イーグル。ハイディ女史は、同州のカルト・ワインの幾つかを造り上げている最も有名なワインメーカーの一人だ。2014年ものの価格は約40万円。
他にも、高額で扱われているカルト・ワインには次のようなものがある。
●コルギンColgin
サザビーズの競売人であるコルギン女史が所有するハーブ・ラム・ヴィンヤードHerb Lamb Vineyardから生まれるカベルネ・ソーヴィニョン種を用いて、フランス産のオーク新樽で25ヵ月熟成させて造られている。生産量は年間400ケース。2014年ものの価格は、約10万円。
●ブライアント・ファミリー・プリチャード・ヒルBryant Family Pritchard Hill
ブライアント・ファミリー・ヴィンヤードで、コルギンを立ち上げたワインメーカー、ヘレン・ターリー女史Helen Turleyの指導で造られている。プリチャード・ヒルは海抜450メートルの高台にあり、4ヘクタールの小さな畑から生まれるカベルネ・ソーヴィニョンから年間600~1000ケースのみ生産。2014年ものは約8万円。
●このほか、グレース・ファミリー・ヴィンヤーズGrace Family Vineyards、ダラ・ヴァレー・ヴィンヤーズDalla Valle Vineyards、ハーラン・エステート Harlan Estate、マルカッサンMarcassinのワインが1本5万円を超える価格で売られている。

カリフォルニア流にアレンジしたアメリカ名物

さて、アメリカ名物といえば、ホットドッグやハンバーガーを思い浮かべがちだが、ハンバーガーは、ご存知の人も多いようにドイツのハンブルグが発祥。18世紀にハンブルグ・ステーキがアメリカに渡り、パンにはさんだ形の商品が誕生したのは1904年のこと。セントルイスで開催された万博で評判になり、アメリカの代表的な食べ物になった。一方のホットドッグはアメリカ生まれ。地域によって特徴があり、カリフォルニア流ホットドッグとして名高いのは、ドジャー・ドッグDodger Dog=写真。野球のメジャーリーグ・チーム「ロサンゼルス・ドジャーズ」の本拠地、ドジャーズ球場でしか食べられないホットドッグで、全米一の売上げを誇るホットドッグといわれている。ワインとあうかは…読者のご判断にお任せしよう。

週刊ジャーニー No.1030(2018年4月12日)掲載

ミヨコ・スティーブンソン Miyoko Stevenson

WSETディプロマ取得。Circle of Wine Writers会員。Chevalier du Tastevin(利き酒騎士)団員。Jurade de St-Emilion団員。Ordre des Coteaux de Champagne団員。国際日本酒利き酒師。The Guild of Freemen of the City of London会員。ワイン関連の訳書・著書あり。現在、ロンドンでワイン教室を主宰。
www.miyokostevenson.co.uk
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