ご当地ワインと郷土料理&名産物㉑ポルトガル・ワイン総括

土着のワイン品種に恵まれた国

英国からのホリデー先として人気のあるスペインは、ローカル・フードとワインのレベルの高さで知られるが、その西隣に位置し、共にイベリア半島を形作っているポルトガルのローカル・フードやワインは、あまり知られていない。今回は、そのポルトガルについて書いてみたい。
ポルトガルは、実は土着のブドウ品種が非常に多い。また、海に面しているので海産物が新鮮で豊富。さらに同国東部に位置する高原や山脈では酪農が盛んに行われ、ローカル・フードに合ったワインがバラエティ豊かに作られている。

多様な黒ブドウ品種

例えば、ポルトガルで最も高く評価されている黒ブドウ品種にトゥリーガ・ナショナルTouriga Nacional種がある。この品種は収穫量が少なく、栽培も難しいものの、色と香りが濃厚で、若いときにはヴァイオレットやベルガモットの魅力的な香りを放ち、長期熟成可能で、熟成と共に複雑な風味を呈すようになるワインを造るブドウ品種だ。特に、キンタ・ドス・ロケスQuinta dos Roques, トゥリーガ・ナショナル(Amazonで購入可能)のワインをお勧めしたい。
一方、ティンタ・ロリスTinta Roriz種は、スペインでは、リオハを造る品種として有名なテンプラニーヨTempranillo種と同じ黒ブドウ品種。最高品質のものは、色調が深く、複雑な風味を持ち、さらに非常によく成熟したタンニンをワインに与える。また、よりシンプルで軽いワインを比較的多く造ることもできる。
トリンカデーラTrincadeira種は色が濃く、タンニンも豊富で、スパイシーかつ複雑な果実味の赤ワインを造ることができる。英国のスーパーでもよく見かけるワインだ。

白ワインが有名な「緑のワイン」

ところで、「緑のワイン」という意味を持つヴィーニョ・ヴェルデVinho Verdeには、赤ワイン、ロゼ・ワイン、白ワインがあるが、一番有名なのは白ワインだろう。このワインは淡いレモン色で、酸味が高く、アルコール度は比較的低め(8~11.5%)であるのが一般的だが、微妙に発泡性をもつおかげで、爽やかな風味が強調されている。揚げ物によく合う。お勧めのヴィーニョ・ヴェルデとしては、キンタ・ド・アメアール・ローレイロQuinta do Ameal Loureiro、キンタ・ド・フェイタルQuinta do Feital、ドラド・スペリオール・アルヴァリーニョDorado Superior Alvarinhoなどがある。 なお、ポルトガルのワインのラベルにガラフェイラGarrafeiraと書かれたものがあるが、これは赤ワインの場合には最低30ヵ月間熟成(そのうち12ヵ月間は瓶内熟成)、白ワインの場合には12ヵ月間熟成(そのうち6ヵ月間は瓶内熟成)されたことを示し、地方委員会によって品質が保証されている。

ローカル・フードに舌鼓

トゥリーガ・ナショナルの赤ワインを楽しむ際には、アロウケサArouquesa牛のビーフ・ステーキを頬張りたい。アロウケサはポルトガルで最も高級な牛肉。また、トゥリーガ・ナショナルの古酒で、トロトロに熟したケイジョ・ダ・セラ・ダ・エストラーレQueijo da Serra da Estrale=写真左下=のチーズを味わってみてはいかがだろう。ケイジョ・ダ・セラ・ダ・エストラーレは、ポルトガル最高峰エストラーレ山脈産のチーズ。硬い皮に覆われているので、食べる前に半日間は室温に置いて中味がトロトロ状態になったら上の皮を切りはずし、スプーンですくって、パンやクラッカーに塗って食べるとよい。濃厚なミルクの風味が感じられるチーズだ。

週刊ジャーニー No.1005(2017年10月12日)掲載

ミヨコ・スティーブンソン Miyoko Stevenson

WSETディプロマ取得。Circle of Wine Writers会員。Chevalier du Tastevin(利き酒騎士)団員。Jurade de St-Emilion団員。Ordre des Coteaux de Champagne団員。国際日本酒利き酒師。The Guild of Freemen of the City of London会員。ワイン関連の訳書・著書あり。現在、ロンドンでワイン教室を主宰。
www.miyokostevenson.co.uk
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