●サバイバー●取材・執筆/本誌編集部
クリスマスや年末年始といった冬のホリデーシーズンまで残すところ、あと3週間。今年はコロナ禍により、クリスマス・パーティーや忘年会、旅行などを縮小・中止せざるを得ず、「休暇をどう過ごそう?」と頭を悩ませている人も少なくないのでは?
そんなアナタにおすすめしたいのが、19世紀に活躍した英国を代表する文豪、チャールズ・ディケンズ。英国でクリスマスにちなんだ物語といえば、最初に思い浮かべるのがディケンズの「クリスマス・キャロル」。ディケンズらしい「勧善懲悪」で分かりやすいストーリーであるため、クリスマスや年の瀬に、家族で楽しむのにピッタリの作品だ。
ディケンズの作品は、自身の苦難の幼少期を反映するかのように、貧しい人々を主人公にしたものが多い。そして「大どんでん返し」の連続で存分に展開を楽しませ、最終的には主人公が幸せになるサクセス・ストーリーが特徴。慈愛精神や社会変革の必要性をさりげなく伝える物語は、コロナで不安や孤独が渦巻く現在にも通じるものがあるだろう。
今年はディケンズの没後150周年。いつもよりたっぷり時間がある今だからこそ、英国人が愛するディケンズの世界を、まずは映像で楽しんでみては?
大いなる遺産 Great Expectations
デイビッド・ コパーフィールド David Copperfield
あらすじ
母と死別し、冷酷な義理の父から暴力を受けていた少年デイビッド・コパーフィールドが、様々な苦労をしながらも作家として大成していく様子を描いた物語。
クリスマス・キャロル A Christmas Carol
あらすじ
クリスマスを間近に控えたある夜、強欲で冷血な商売人スクルージのもとに、3人の精霊が現れる。自身の過去・現在・未来を見たスクルージは、今までの非情な所業を悔い改めることにする。
荒涼館 Bleak House
あらすじ
冷たい伯母のもとで愛されずに育ったエスタは、「荒涼館」でハウスキーパーとしての職を得る。屋敷には、泥沼の遺産相続争いをする当事者たちが滞在しており…。ディケンズの著作の中で、もっともミステリー色が強い作品。
二都物語 A Tale of Two Cities
あらすじ
ロンドンとパリを舞台に、激動のフランス革命の時代に生きた瓜二つの青年ダーニーとカールトン、そして無実の罪で投獄された父を持つ女性ルーシーの三角関係の恋模様を描く。
オリバー・ツイスト Oliver Twist
あらすじ
孤児のオリバー・ツイストは養育院を追い出され、窃盗団で盗みを仕込まれる。ある日、スリ被害に遭った紳士が、逃げ遅れたオリバーを引き取ると言い出し…。
ニコラス・ニクルビー Nicholas Nickleby
あらすじ
父と死別して生活苦に陥った青年ニコラス・ニクルビーは、母と妹の3人でロンドンへ出てくる。しかし、頼った叔父は冷血非道な高利貸しで、誠実で正義感の強いニコラスは様々な苦難を味わうことになる。
リトル・ドリット Little Dorrit
あらすじ
父が収監されていた債務者監獄で生まれ育ったドリット家の娘エイミーは、生活費を稼ぐために、内密にお針子として働いていた。やがて女主人の息子に恋心を抱き…。
週刊ジャーニー No.1067(2020年12月10日)掲載