■ せっかく英国に住んでいるなら、プラスティック製などの組み立て式ツリー(artificial christmas trees)ではなく、一度は本物の木(real christmas trees)を飾ってクリスマス・シーズンを過ごしてみたいと思いませんか? 今回は、ツリーの購入場所から木の種類や選び方、シーズン終了後の捨て方までご紹介します。
●サバイバー●取材・執筆/本誌編集部
どこで買えばいいの?
クリスマス・ツリーを飾るのは、「アドベント・カレンダー」でクリスマスまでをカウントダウンしはじめるのと同じ頃。今年は12月3日(日)にあたる。その日に向けて、11月後半になると大手スーパーマーケットをはじめ、あちこちでツリーの販売がスタートする。
ツリーの質は「値段相応」と言われており、価格が高いものは新鮮で枝ぶりも良く、長持ちする傾向がある。また、ガーデンセンターや花屋、B & Qといったガーデニングの専門店は、当然ながら良い木を取り揃えており、良いものは早いうちにどんどん売れていく。
車を所有している人は、ロンドン郊外にあるクリスマス・ツリー農園を訪れてみるのもいいだろう。農園によっては、自宅へのデリバリーも可能だ。また、こうした農園はロンドン各所(広場や教会など)でポップアップの出張販売も行っている。
主な購入場所
- ガーデンセンター
- 花屋
- フラワーマーケット
- B & Q
- 大手スーパーマーケット
- ポップアップ販売のクリスマス・ツリー屋
- クリスマス・ツリー農園
どんな種類があるの?
クリスマス・ツリーの品種はいくつかあるが、やはり定番は「モミの木」(Fir trees)。なかでも、葉(needle)が落ちにくいとされる「Nordman Fir」がポピュラーで、スーパーなどで販売されている木の多くは、この種類だ。モミの木は枝が柔軟で、香りが強いのが特徴。他の木に比べて、葉も長持ちする。
次に一般的なのが「スプルースの木」(Spruce trees)。日本では「トウヒ」と呼ばれており、枝が強く、重いオーナメントをたくさん飾りたい人におすすめ。ただ、スプルースは落葉が早いため、クリスマスに近い時期に購入する方がいいかも。
そして、忘れてはいけないのが「松の木」(Pine trees)。この木も重いオーナメントを飾るのに適した強い枝を持っている。
木の種類によって、色も形も枝ぶりも葉の生え方も異なる(下参照)。品種はツリーのトップ部分につけられたタグに記されている場合が多い(写真上)。
主な木の種類
- Fir trees(モミの木)
- Spruce trees(スプルース/トウヒの木)
- Pine trees(松の木)
カット or ポット?
「大きな生木を置くスペースはないけれど、できれば本物を飾りたい…」という人は、ポット(植木鉢)に入ったものを購入すれば問題解決! シーズンが終わったら、ポットから取り出してそのまま庭に植えることも可能。上手く育てることができれば、翌年以降もクリスマス・ツリーを楽しむことができる。
ポットに入った手頃なサイズの木は、早い時期からスーパーなどにずらりと並んでいる。
落葉が気になる人は…
改良されたノンドロップを!
生木のクリスマス・ツリーで一番大変な点は、枯れて床に落ちてしまった葉の掃除。「毎朝、掃除機をかける時間なんてない!」「小さな子どもやペットがいるから心配…」という人は、葉が落ちにくいように近年品種改良された「ノンドロップ」(non-drop)のツリーを買おう。
ただし、従来の木に比べて落葉は少ないものの、木の香りも抑え気味に…。生木を飾る醍醐味のひとつは「森の中にいるような自然の香りを自宅で楽しめること」なので、それを重視したい人はノンドロップでは満足できないかも。
ノンドロップの木は人気があるため、絶対にノンドロップ! という人は早めに購入しよう。
木の選び方は?
STEP 1: サイズや形をチェック
ツリーを置く場所の天井の高さを事前に確認し、部屋のサイズに合わせたものを買うこと。また、樹形が左右対称である方がバランスよく見える。上質な木は枝が密生しており、こうしたボリューム感も大切だが、茂って膨らんでいる木は幅をとるので、想像以上に部屋が狭くなってしまうことも…。また、幹やツリーのトップ部分がまっすぐに育ったものを選ぶのもポイント。
STEP 2: 乾燥具合を揺すってチェック
気になったツリーを手に取り、軽く揺すってみる。色落ちした茶色の葉が少し落ちる程度なら問題ないが、緑葉がポロポロ落ちる場合は木が乾燥気味。切り立て(フレッシュ)ではない可能性が高いので、別の木も検討してみるべし。
STEP 3: 乾燥具合を触ってチェック
葉はしなやかで、強く折り曲げないとポキッと折れないものがよい。葉が硬く、色が落ちてきている木は長持ちさせたいなら避けよう。
どうやって飾ればいいの?
買った後は、木を持ち運びやすいように、店員が白いネットをスッポリとかぶせてくれる(写真右)。木のサイズと運ぶ距離にもよるが、女性2人で十分運ぶことが可能だ。
木の寿命は4~6週間程度。家に持ち帰ったら、ツリースタンド(写真左)に木を固定し、枯れてしまわないようにすぐに飾ろう。幹の直径が2.5cmにつき1日平均1リットルの水が必要とされているので、木のサイズに適した水量を毎日与えるを忘れずに。乾燥すると、枯れるだけでなく火災も起こりやすくなるので注意。また、暖炉の近くにも設置しないこと。
木製や布製のツリースカートでスタンド部分を覆うと、より華やかな雰囲気になるので、自宅でクリスマス・パーティーを開きたい人にはおすすめ(写真下)。
どうやって捨てればいいの?
年が明けたらすぐにクリスマス・ツリーを片付けたくなるが、ツリーのシーズン終了日は「十二夜」(Twelfth Night)。クリスマス当日から12日目、クリスマス祝いの最終日にあたる1月6日の「公現祭」(Epiphany)にクリスマス飾りを取り外すのが習わし。
大抵は住んでいる地域のカウンシルから、「1月〇日に家の外に出しておいてください」という連絡が届く。その指定日に出し忘れると、普通のゴミ収集日に出しても回収してくれないことが少なくない。ツリー専用の収集ポイントが臨時につくられる場合もあり、各地域によって対応が異なるため、自分が住んでいる地域はどう処理するのか、カウンシルのウェブサイト等でチェックしておこう。路上はもちろん、一般ゴミ捨て場にポイ捨てするのはNG。その他、リサイクルセンターに持ち込むという方法もある。
ツリーは回収された後、粉砕されてウッドチップ(写真上)になることが多い。森林地帯や公園の遊歩道にまかれたり、堆肥に混ぜられたりして、リサイクルされる。
週刊ジャーニー No.1319(2023年11月30日)掲載