Q201「いのちの電話」、英国が発祥って本当?
Aふむ。誰にも相談できずに1人で悩み苦しんでおる者を、電話による対話でサポートするボランティア相談機関「いのちの電話」。パンデミック以降、日本でも広く知られるようになったみたいじゃが、この相談サービスの起源は、実は英国じゃ。
最初に活動を始めたのは、シティにあるセント・スティーブン教会(St Stephen Walbrook)の牧師チャド・ヴァラーなる者じゃ。1953年、バラー牧師が同教会で初めて取り仕切った葬儀は、14歳の少女のものだったそうじゃ。少女は初潮の存在を知らなかったゆえ、自分にその第二次性徴がおとずれたとき、いずれ死にいたる性感染症を患ったと誤解し、誰にも言えずに命を絶ってしまったのじゃよ…。バラー牧師は深刻な悩みを抱える人を助けようと、聖書の福音書「善きサマリア人」を由来とする「サマリタンズ(Samaritans)」という電話相談機関を創設し、教会内の地下に直通電話を設置したのじゃ。

このサポート活動はやがて欧米に広がり、日本でも1971年にドイツ人宣教師が「いのちの電話」を開設したというわけじゃよ。
ちなみに、バラー牧師が設置した黒電話(右)はセント・スティーブン教会に展示してあるぞ。
週刊ジャーニー No.1339(2024年4月25日)掲載
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