昨今の若者…英国史を誇りに思わず!? その1

■ 英国人の母とリビア人の父を持つ、東ロンドン在住の中学校教師でイスラム教徒の作家、ナディーン・アスバリさん=写真=が、英国の子どもたちが新しい価値観を持ち始めていると話している。英国は、もはやアングロサクソンの国とは呼べないようだ。多くの移民を受け入れている日本の未来にも、当てはまるかもしれない内容。日本の移民政策を考える上で多少なりとも参考になるかと思い、「メトロ」紙(電子版)に掲載されたアスバリさんの寄稿文を紹介する。

ある研究で、過去10年で英国に誇りを持つ人の数が急減していることがわかった。「他国の国民ではなく、英国民でありたい」と回答したのは半数以下。英国の歴史に誇りを持つ人の割合は22%も減少した。正直なところ、私はこの結果に驚いていない。私と同世代の20代や30代の人々、そして中等教育の教師として関わっている10代の子どもたちも含め今日の若者は、前の世代で一般的だった理想化された(時に現実離れした)英国らしさのイメージをもはや共有していない。私に言わせれば、それは良いことだ。国を誇りに思い、国旗を振ることは、私たちの親や祖父母の世代の特徴だった。これは戦後ノスタルジーや、教育、大衆文化で英国が世界に果たした役割が良いものだったとして描かれていた影響かもしれない。

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しかし、今日では状況が違っている。もちろん右派の人たちの中には愛国心の衰退を嘆き、英国の価値観が失われているとか、文化の争いの一部だと言う人がいるかもしれない。リフォームUKのナイジェル・ファラージ党首は「子どもたちが英国を嫌うように教育されている」と非難し、この研究結果について不満を述べる動画を投稿した。本当にそうだろうか? それとも、より正直に教えられているだけだろうか?

私個人の考えでは、これらの結果は英国の社会がどれだけ進歩したかを示している。カリキュラムを見直す動きや考え方の変化により、今は子どもたちに偏りなく正確な英国の歴史を教えることに重点が置かれている。私の生徒たちは、英国が奴隷貿易や植民地主義、世界大戦で果たした役割について学ぶが、それは英国を世界の英雄として描くような教え方ではない。(その2に続く)By週刊ジャーニー (Japan Journals Ltd London)


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