2年ほど前に日本のニュース番組で報道され、現在ユーチューブでも視聴できる動画がとてもユニークなのでご紹介したい。東京の神保町に未来食堂という座席数13席の小さな食堂がある。切り盛りしているのはオーナーの小林せかいさん。小林さんはかつて大手レシピサイト『クックパッド』に勤務していたが、その後外食大手で経営のノウハウを学び、この店を開いたという。
ユニークなのは事情があって食事代を払えない人のため、900円の定食を『まかない』として無料で提供しているところ。食事の提供を受けた人はお返しに50分、お店の手伝いをするシステム。しかし単に人件費を抑えるためだけではなさそうだ。「常連のお客さんがお金がなくなったから、という理由だけで関係が途切れてしまうのが嫌だった」と、小林さんは食事の無料提供を始めた理由を語る。開業して2年の時点で既にこのサービスを利用した人は500人にも上ったという。
お話はこれで終わらない。50分の勤労奉仕をして得た貴重な一食分の権利を見知らぬ他人に譲ってしまう客も大勢いるのだとか。店内のボードにそういった人たちが提供する食事券が貼られ、利用したい人はその券を利用して無料で食事を楽しむことができるという。 デジタルの進化で人と人のつながりが希薄になりつつあるような気がする今の時代、なぜか嫌いな人が出てこない、とってもホッコリするお話。小林せかいさん、あなた素敵。お時間のある時にゆっくりご覧ください。
By 週刊ジャーニー (Japan Journals Ltd London)