デヴィッド・ボウイ没後10年 David Bowie Centre

The David Bowie Centre at V&A East Storehouse. Photo by David Parry, PA Media Assignments.
■ 「20世紀で最も影響力のあるアーティスト」として世界的に知られる、英国出身のデヴィッド・ボウイ(1947~2016年)。2016年1月10日に他界した後も、その存在感は増すばかりだ。昨年9月13日には、V&Aの分館「V&Aイースト・ストアハウス」の一角に「デヴィッド・ボウイ・センター」がオープン。今年は没後10周年を迎え、さまざまなイベントが企画されているなか、改めてボウイのレガシーを確認するべく、同センターに足を運んでみた。(文・写真/名取由恵)

V&Aとボウイといえば、日本を含む世界各地で巡回を行い、大成功をおさめたエキシビション「David Bowie Is」(2013~2018年)が記憶に新しい。そしてボウイの遺産管理団体「デヴィッド・ボウイ・エステート」などから引き継がれた9万点に及ぶアーカイブ資料のなかから、厳選された約200点のアイテムを常時展示するのが、このデヴィッド・ボウイ・センターだ。

入口を入ってすぐの左側では、ボウイがポップカルチャーに与えた影響を、レコードやCD、本、写真などで紹介している。また、右側にあるスタディ・センターでは、通常は展示されていない資料を最大5点まで予約閲覧することが可能。

天井まで届く棚には、アーカイブ資料がぎっしり。頭上には、実際にボウイが着用したコスチュームが、タイベックに包まれたまま衣装レールに下げられ、「見せる収蔵庫」を謳う同館ならではの工夫がなされている。
ジギー・スターダストのコスチューム。1973年にファッション・デザイナーの山本寛斎がデザインした、アシンメトリーのキャットスーツも展示されている。
アレキサンダー・マックイーンと共同でデザイン。ボロボロのユニオン・ジャックをモチーフにしたフロックコート。1997年発表のアルバム『アースリング』などで着用。

メインの展示スペースには、テーマごとにさまざまなオブジェクトが並ぶ。アレキサンダー・マックイーンと共同でデザインしたフロックコート、山本寛斎とフレディ・バレッティがそれぞれデザインしたジギー・スターダストとアラジン・セインのステージ衣装が目を引く。ほかにも、世界初公開の未完音楽プロジェクト「ザ・スペクテイター」の制作資料やジギー・スターダスト時代のギター、楽器・音響機器、写真、手書きの歌詞、スケッチ、メモ書きなど、その種類は多岐にわたる。また、1995年からボウイのバックバンドで活躍した女性ベーシストのゲイル・アン・ドーシーに焦点を当てたコーナーや、プロデューサーのナイル・ロジャースがゲストキュレーターを務める企画展示もある。

ミュージシャン、アーティスト、作家、デザイナー、俳優など、類稀なるクリエイターとして時代を牽引し、ポップカルチャーに影響を与えたボウイ。1964~2016年までおよそ50年間に及ぶキャリアとクリエイティビティを振り返る同センターは、昔からのコアなファンにも、彼を初めて知る若い世代にも、新たなインスピレーションを与えてくれる。なお、今年2月からセンターの事前予約は不要となった。入場無料で好きな時間にふらりと訪れ、思う存分にボウイの音楽と創造の世界に浸ることができるとは、なんと贅沢な体験だろう。

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David Bowie Centre

ロンドン東部ハックニー・ウィック駅から徒歩数分、クイーン・エリザベス・オリンピック・パーク内にある。

V&A East Storehouse(Level 2)
Parkes St, Queen Elizabeth Olympic Park, Hackney Wick, London E20 3AX
入場無料
www.vam.ac.uk/exhibitions/david-bowie-centre



今年のトリビュート・イベント

「David Bowie : You’re Not Alone」
Lightroom

1973年に行われたハマースミス・オデオンでの伝説のコンサートをはじめ、ライブ映像や貴重なインタビュー、プロモビデオを中心に、写真、ドローイング、歌詞など、デヴィッド・ボウイの世界を360°でイマーシブ体験。会場の11メートルに及ぶ巨大な壁に映し出されるボウイのパフォーマンスが圧巻だ。また、ボウイに影響を受けたミュージシャンやアーティストが出演するプログラム「ボウイ・ナイツ」も開催。

10月10日(土)まで
Lightroom

12 Lewis Cubitt Square, London N1C 4DY
チケット:大人£25〜 
https://lightroom.uk

「David Bowie Tribute Concert」
O2 Arena

 英メディアの3月の報道によると、デヴィッド・ボウイの没後10周年を記念し、ロンドンのO2アリーナで追悼コンサートが企画されているという。出演が噂されているのは、世界を代表する若手ミュージシャンたち。ハリー・スタイルズ、ヤングブラッド、ロードらがボウイからの影響を公言している。収益は「ティーンエイジ・キャンサー・トラスト」など、音楽関連のチャリティー団体に寄付される。コンサートは7月に行われ、BBCが中継する予定。今後の続報を待ちたい。


週刊ジャーニー No.1442(2026年4月30日)掲載

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