ドットが織りなす安らぎの水辺 スーラと海

The Griffin Catalyst Exhibition: Seurat and the Sea, Courtauld Gallery. Photo © Fergus Carmichael
■ 単色の小さな点を重ね合わせ、それを鑑賞者の目の中で混ざらせて色に見せる「点描画(ポワンティリスム)」を確立し、美術史に大きな足跡を残したフランスの新印象派の画家、ジョルジュ・スーラが描いた海辺の風景画が一堂に会した展覧会が、コートールド・ギャラリーで開幕した。残された作品数が多くはないスーラの作品を堪能できる貴重な機会を見逃すまいと、足を運んできた。

本展には、1885年から1890年にかけて、ノルマンディーなどフランス北部の沿岸部を5度にわたり訪れた際に制作された油彩画、油彩習作、素描など26点が集結している。

パリにアトリエを構えつつ、夏になると都会の喧騒を逃れて地方の海へ向かったスーラ。「(パリの)アトリエで過ごした日々で曇った目を清め、明るい光をそのあらゆるニュアンスとともに、できる限り忠実に表現したい」と語った彼が描いた海辺に人の姿はほとんどない。ボートや漁船が並ぶ港の風景は、賑やかな朝が過ぎ去った閑散とした昼下がりに見える。好んで通っていたノルマンディーに観光客が増えてくると、より静かな北フランスに移動し、夏の海を描き続けた。

筆跡を見れば書いた人の心根や性格、精神状態が隠しきれず表れるという意味の「書は心画なり」という言葉があるが、スーラの絵には、静かな場所を好み、自身も寡黙で物静かであったという彼の性格が現れているかのようだ。きっと彼の創作風景もごく静かなものだったのだろう。筆につけた絵具をカンバスにひとつひとつ置いていく。かすかな筆の音だけが海風に紛れて聞こえる――そんな情景までもが、絵のこちら側に浮かび上がってくる。

遠ざかって見ても近寄って見ても、思わず心地よい感嘆のため息をあげずにいられないスーラの点描画。私の目にかけられた『点の魔法』が見せてくれたフランスの海辺の光をこの目で見たくなり、いつかノルマンディーの海辺巡りをしてみたいと夢想しつつ、その前に久しぶりにナショナル・ギャラリーにスーラの大作「アニエールの水浴」を見に行こうと思いながら会場を後にした。(文・ネイサン弘子)

TK Trading
Centre People
ロンドン東京プロパティ
Dr Ito Clinic
早稲田アカデミー
サカイ引越センター
JOBAロンドン校
Koyanagi
The Channel at Gravelines, Petit-Fort Philippe, 1890, oil on canvas, Indianapolis Museum of Art at Newfields, Gift of Mrs. James W. Fesler in memory of Daniel W. and Elizabeth C. Marmon, 45.195. Image courtesy of the Indianapolis Museum of Art at Newfields
The Beach at Gravelines, 1890, oil on panel, 16 x 24.5cm. Courtauld Gallery, London (Samuel Courtauld Trust) © Courtauld
Seascape at Port-en-Bessin, Normandy, 1888, oil on canvas, 65.1 x 80.9cm. Gift of the W. Averell Harriman Foundation in memory of Marie N. Harriman, National Gallery of Art, Washington D.C.
Port-en-Bessin, 1888, oil on canvas, lent by the Minneapolis Institute of Art, The William Hood Dunwoody Fund. Photo: Minneapolis Institute of Art

Georges Seurat
ジョルジュ・スーラ

1859年12月2日、パリの裕福な家庭に生まれ、国立美術学校で正規の美術教育を受ける。物静かで秘密主義であったという彼の私生活についてはよく知られておらず、パートナーとの間に一子をもうけた直後、1891年3月29日、31歳の若さで亡くなる。死因はジフテリア感染症と考えられている。


Seurat and the Sea

2026年5月17日(日)まで
The Courtauld Gallery

Somerset House, Strand, WC2R 0RN
チケット代:£18
https://courtauld.ac.uk


週刊ジャーニー No.1433(2026年2月26日)掲載

Restaurant
Joke
Henry Q&A
Travel Guide
London Trend
Survivor
Great Britons
Afternoon Tea
ロンドンおすすめレストラン
面白すぎる英国ジョーク
なるほど英国Q&A
ロンドン近郊トラベルガイド
ロンドン最新トレンド
面白すぎる英国史
面白すぎる英国の偉人
ロンドンでアフタヌーンティー