V&Aで開催中、永遠のファッション・アイコン マリー・アントワネット・スタイル

© Victoria and Albert Museum, London
華やかなファッションと贅沢な暮らしで人々の嫉妬と反感を買い、「国民を食いつくした浪費家」として断頭台に消えたフランス革命の象徴、マリー・アントワネット。「悪女」「悲劇の王妃」として世界史に名を刻んだ彼女のファッション性に焦点をあて、そのスタイルや魅力が今なお与え続ける影響を紹介するエキシビションが開幕した。

可愛らしいピンクやエレガントなフォントが彩る冒頭の展示室では、フランスのベルサイユ宮殿から貸し出された、柔和な微笑みを浮かべるマリー・アントワネットの大きな肖像画が来場者を迎える。本展には、V&Aが所蔵する彼女の衣装や私物をはじめ、フランスを中心に世界各地から集められた貴重品、映画衣装、有名デザイナーによるドレスなどがずらりと並ぶ。
アントワネットのファッション性に加え、その人生や人となりも紹介。日本のアニメ「ベルサイユのばら」世代の筆者にとっては、展示や解説を目にするたびに『ベルばら』を通じて知った史実を下敷きにした逸話が思い起こされ、そのおかげもあって理解が一層深まった。

18世紀、政略結婚によりオーストリアからフランスへやって来た少女は、寂しさを紛らわすかのようにファッションやアートに没頭。ポーランド風ドレスやトルコの伝統帽子、英国スタイルのガウンなど、各国のデザインを積極的に取り入れ、常に新しいスタイルを追い求め、流行を発信し続けた。

実物のドレスやジュエリーは、ため息が出るほどゴージャス。加えて、近現代のアーティストやデザイナーによる作品はいずれも愛らしく魅力的で、風刺的なイラストも見ていて楽しい。「ドレスルーム」(トップ写真)には映画衣装をはじめ、カール・ラガーフェルド、ヴィヴィアン・ウエストウッド、ジェレミー・スコット、アレッサンドロ・ミケーレといった世界的デザイナーが手がけた、アントワネットをモチーフにしたドレスが一堂に会する。

200年以上前、フランス国民に憎まれ処刑されたにもかかわらず、今なお抗いがたい魅力を放ち続けるマリー・アントワネット。その存在に改めて心を奪われる本展。出口の特設ショップでは、彼女のドレス柄を取り入れたセンスあふれるグッズも購入できる。お見逃しなく。(文/ネイサン弘子)

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Marie Antoinette

Portrait of Marie Antoinette, Queen of France, in a court dress. Oil painting by François Hubert Drouais, 1773 © Victoria and Albert Museum, London

● 1755年
オーストリア皇女としてウィーンに生まれる。母はマリア・テレジア
● 1770年
政略結婚でフランス王太子ルイ(のちのルイ16世)のもとへ嫁ぐ。14歳
● 1774年
ルイ16世が即位し王妃となる。華やかな宮廷生活や浪費で批判を浴びる
● 1778年
長女マリー=テレーズ出産
● 1781年
長男ルイ=ジョゼフ出産

アントワネットの第一侍女に贈られた、形見のメダリオン。中央にルイ=シャルルのブロンドの毛髪が収められ、三つ編みにされたアントワネットの毛髪が取り囲んでいる。
● 1785年
二男ルイ=シャルル出産
● 1786年
二女ソフィー出産
● 1789年
フランス革命勃発
● 1791年
家族でオーストリアへ逃亡を試みるが失敗(ヴァレンヌ事件)
● 1792年
王政が廃止され王族は投獄される
● 1793年
夫ルイ16世が処刑(享年38歳)。続いてマリー・アントワネットも裁判にかけられ、10月16日にギロチンで処刑される。享年37歳

 


まるで日本人アーティスト、草間彌生の「ミラールーム」のような、鏡とシャンデリアを効果的に配置した展示室に、マリー・アントワネットが実際に着用したドレスなどが並ぶ。
Robe à la française-style gown and jeans
Jeremy Scott for Moschino Autumn/Winter 2020-21
「Robe à la française worn ‘à la polonaise’ 」ポーランド風のドレス。アントワネットは世界中のデザインを取り入れた。
冬でもファッションアイテムとして手にされていた扇子。象牙の柄に施された彫り物や、繊細な絵柄はうっとりするほど美しく、扇子として使用するには扱いに緊張しそう。
マリー・アントワネットが収監された、タンプル監獄に残されていた彼女の肌着。煌びやかなドレスとの対比が鮮明。

マリー・アントワネットを知る映画

その波乱万丈な人生がこれまでに幾度となく映画やドラマの題材にされてきたマリー・アントワネット。エキシビション前に映像で予習してみては?

映画『Marie Antoinette』(2006年)

Film still from Sofia Coppola’s Marie Antoinette. Photo courtesy of I WANT CANDY LLC. and Zoetrope Corp

ソフィア・コッポラ監督による、絢爛豪華な宮殿生活と王妃の孤独な内面を描いた歴史ドラマ。アカデミー衣裳デザイン賞受賞。劇中で使用されたドレスを本エキシビションで見ることができる。

TVドラマ『Marie Antoinette』(2022年)

BBC制作の歴史ドラマ。シリーズ1、2、全16話。現在BBC iPlayerで視聴可能。

アニメ映画『ベルサイユのばら』(2025年)

革命期のフランスに生きる人々を、架空のキャラクターである男装の女性近衛兵オスカルを中心に描き、TVアニメや宝塚歌劇団による舞台でもお馴染みの池田理代子の名作漫画を、誕生から50年以上の時を経て制作された劇場版アニメ。現在ネットフリックスで視聴可能。

Marie Antoinette Style

© Victoria and Albert Museum, London

2026年3月22日(日)まで
V&A South Kensington

Cromwell Rd, SW7 2RL
月~日:午前10時~午後5時45分
金:午前10時~午後10時
チケット:平日£23/週末£25
www.vam.ac.uk


週刊ジャーニー No.1412(2025年9月25日)掲載

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