
一度見たら忘れられない、見る者の心を見透かすような強いまなざしの子どもたちのポートレートや、個人的な体験を描いたドローイング、小さな家のインスタレーション、陶器や彫刻の大作など、150点を超える作品が一堂に会した本エキシビションは、奈良氏の個人的かつ創造的な世界に没入する絶好の機会だ。
抵抗や反抗、孤独や自由、精神性といったテーマを探求しつつ、「本当に大事なものはいつも心にあって、考えなくてもそれが作品に自然に表れる」との彼の言葉通り、生まれ故郷の青森の森やリンゴ畑、ロック・ミュージックなど、心の原風景である自然や青年期に夢中になった音楽からの影響が見て取れる作品たち。そのポップさとキュートさに惹かれる人が多いが、世界中の人々がこれほどまでに彼の作品に惹かれるのは、キュートさの中ににじみ出る反逆性や強さ、その反面、振り返ったら消えてしまうのでないかと思えるような儚げな魅力を感じるからではないだろうか。
「広い展示室はまるでチャペルのように、廊下ではストリートのように作品が展示され、階層がわかれたヘイワード・ギャラリーの流動的な空間をうまく利用できた。そんな所も楽しんで欲しい」と語った奈良氏。この機会を是非お見逃しなく。(写真・文/ネイサン弘子)







Hayward Gallery: Yoshitomo Nara


8月31日(日)まで
Hayward Gallery
Southbank Centre, Belvedere Rd, SE1 8XX
火~日 :午前10時から午後6時(月休)
チケット :一般£20
www.southbankcentre.co.uk
週刊ジャーニー No.1398(2025年6月19日)掲載















