
ロンドン五輪時にはメディアセンターとして活躍し、五輪後に大学やスタジオ、テック企業などが入居する複合施設として生まれ変わった「Here East」。この建物の一角にロンドンの新たなミュージアムに仲間入りしたのが「V&A East Storehouse」だ。『ストアハウス』の名の通り、巨大な倉庫をまるごと公開してしまうという、これまでにない形式のミュージアムとして話題だ。
ストアハウスに一歩足を踏み入れると、左右の収納棚に収まった胸像がずらりと並んでお出迎え。まるでミュージアムの倉庫に迷い込んでしまったかのような感覚に陥る。『このまま入っていいのかな?』という背徳感さえ感じつつ足を進めると、バルコニー様式の回廊に囲まれた圧巻のホールに出る。思わず感嘆の声を漏らしながら、360度ぐるりと見回す来訪者たち。ガラス張りの足元に目を向けると、真上から鑑賞できるよう絵画が上を向いて保管されている。倉庫としつつも計算されつくした展示方法に感心させられた。
うやうやしく展示される従来のミュージアムと違い、倉庫にしまっておくままではもったいないとばかりに、木のパレットにのせられたまま所蔵しつつ陳列されるさまは、これまでに見たことがない。展示品ひとつひとつに説明書きは添えられていないが、セクションごとに掲示されたQRコードをスマホに読み込むことで、内容を知ることができる。ミュージアムの新たな形として、今後世界中に影響を与えそうだ。これからの季節、オリンピックパークに隣接するウェストフィールド・ショッピングセンターでランチをテイクアウトし、パークでピクニックをしながらのお出かけに最適な訪問地としておススメ。是非足をお運びを。(文/ネイサン弘子)

スペインにかつて存在したトリホス宮殿から移された、15世紀の精緻な彫刻と金箔装飾が施された見事な木製天井。イスラム教の影響がうかがえる、中世スペインの工芸デザインは圧巻。1890年代には荒廃していた宮殿は、所有者により無傷の部分が売却され、1905年にV&Aが購入した。長椅子に寝そべって天井を眺めることができる。




アーカイブに誰でもアクセス可能!スタディ・センター

アート&デザインやシアター&パフォーマンス関連のアーカイブを含む、1000点を超えるコレクションを、V&A イースト・ストアハウス内の新しい「Study Centre」で間近に閲覧することができる。要予約。閲覧方法の詳細はhttps://www.vam.ac.uk/info/order-an-objectから。同時申し込み可能な点数は5点まで。同伴者は1名まで。
今年9月にオープン予定!デヴィッド・ボウイ・センター

V&A イースト・ストアハウス内に今年9月にオープン予定のデヴィッド・ボウイ・センターは、その名の通り、英国が誇るロックスター、ファッションアイコンでもある故デヴィッド・ボウイの世界最大のコレクションを中心に構成された新たなクリエイティブ・ワークスペース。彼がアーティスト活動の過程で幾度も変貌を遂げた足跡を辿りながら、衣装、音楽、歌詞、スケッチの数々を展示する。
David Bowie Centre
2025年9月オープン予定
V&A イースト・ストアハウス内
入場無料
要予約:近日中に予約受付開始
V&A East Storehouse

Parkes Street, Queen Elizabeth Olympic Park, Hackney Wick, E20 3AX
月~日 :午前10時~午後6時
木・土 :午前10時~午後10時
入場無料
週刊ジャーニー No.1397(2025年6月12日)掲載















