■ 「リド(Lido)」という言葉をご存知だろうか。イタリア語で「海岸、海辺」を指す「Lido」とイタリアの海辺リゾート地「リド島」が由来とされ、英語では「屋外プール、海辺の保養地」という意味で使われている。英国では、1930年代に地方自治体による公営施設として全国で169ヵ所のリドがオープン。その後、海外での休暇旅行に人気が移って衰退したが、最近再び注目を集めており、改修工事を得て復活を果たしたリドも少なくない。一方で、天然の池や湖に遊泳スペースが設けられ、自然のなかで泳ぐことができるのも英国ならでは。今年はあまり夏らしくない日が続いているが、少しでも気温が上がった日に、屋外での遊泳を楽しんでみてはいかがだろうか。今回は、ロンドンの屋外プールと野外遊泳スポットを6つ紹介。(文/名取由恵)
人気のブロードウェー・マーケットにも近い! London Fields Lido
ロンドン東部ハックニーにある公園、ロンドン・フィールズの屋外プール。取り壊しの危機にあったが、住民の要望により2006年に再オープン。1年を通して25℃の温水に保たれ、日光浴スペースや夜間照明も完備。プールまでステップフリーで、障がい者用トイレと更衣室もある。
最寄り駅: London Fields
ロンドンのど真ん中で野外遊泳 Serpentine Lido
ハイドパークのサーペンタイン湖畔のカフェの横に設けられた遊泳スペース。クリスマス当日の寒中水泳が有名で、冬季はスイミングクラブのメンバー限定だが、6~9月の日中は一般でも利用できる。アヒルや白鳥と一緒に、のんびりと水遊びや日光浴が満喫できる。
最寄り駅:Hyde Park Corner
4〜10月のみオープンの屋外プール Hillingdon Lido
ロンドン西部にある50メートルの温水プール。かつては「アクスブリッジ・リド」と呼ばれていたグレードII指定の建物が最近改装され、1930年代当時のオリジナルのカスケード(噴水)=写真手前=が復活。室内プール、幼児向けのプールもあって、家族みんなで楽しめる。
最寄り駅:Uxbridge / Hillingdon
魚や鳥と一緒に泳げる天然の池 Hampstead Heath Swimming Ponds
もはやロンドン名物になった、ロンドン北西部の広大な森、ハムステッドヒースの池。男性専用、女性専用、男女共用の3種類あり、通年オープン。夏季はオンラインでの予約が必要。夏でも水温は冷たく、更衣スペースも限られているが、美しい自然のなかでの遊泳は格別。
最寄り駅: Hampstead Heath / Hampstead
グレードⅡ指定を受けた瀟洒な建物 Brockwell Lido
ロンドン南部ブロックウェル・パークの一片にあり、アールデコの建物と緑に囲まれた屋外の50メートル・プール。1937年から地元住民に愛されているランドマーク的存在だ。スパやジム、カフェがあり、冬季は屋外サウナもオープンする。通年営業だが、温水プールではないのでご注意を。
最寄り駅: Herne Hill
285メートルの大きさを誇る人工湖 Beckenham Place Park Swimming Lake
新たにロンドンの野外スイミングのスポットに仲間入りしたのが、ロンドン郊外の南東部に位置するベッケナムプレイス・パーク。1800年にロンドンで初めて遊泳用につくられた湖を復元したもので、通年営業。カヌー、カヤックなどのスポーツやSUPヨガもできるので1日中遊べそう。
最寄り駅: Beckenham Hill
週刊ジャーニー No.1352(2024年7月25日)掲載