デザイン・ミュージアムで開催中 Barbie : The Exhibition

■今年で誕生65年を迎えるバービー人形の大規模展示会が、デザイン・ミュージアムで開催中。いつの時代も子どもたちの憧れであり友達でもあり、おもちゃ界のアイコニックな存在であり続けるバービーの歴史やデザインの進化が紹介されている。(文/ネイサン弘子)

1959年に誕生して以来、世界150ヵ国以上で販売され、1分に100体以上、年間5800万体もの売り上げを誇る、バービー。そんなおもちゃ界のスーパースターが現在、ケンジントンのホランドパークに隣接するデザイン・ミュージアムに大集合している。

本エキシビションでは、バービーの歴史から制作秘話、時代ごとのデザインの移り変わりなどを180を越えるバービー人形や関連の品々とともに紹介。

今よりもすました表情が特徴の初代バービーは、ティーン・ファッションモデルとしてデザインされた。

入り口では、ガラスケースに入った貴重な初代バービーがお出迎え。バービーを販売する米国の玩具メーカー「マテル社」の共同設立者であるルース・ハンドラーは、1950年代に紙人形で熱心に遊ぶ自身の娘バーバラの姿をみて「小さな女の子は『お姉さん』になりたがっているんだわ」と考え、そのニーズに応える人形がないことに気づく。当時の人形は赤ちゃんのようなもので、女の子たちは可愛がりはするものの、憧れを抱くような存在ではなかった。そこで「ティーンエイジ・ファッションモデル」というコンセプトでバービー人形を開発。主婦のちょっとした気づきが、おもちゃの世界を一変させたのだ。ちなみに、バービーの名前は紙人形で遊んでいたルースの娘に由来している。

そんなバービーが実は最初に製作されたのは、なんと日本! 会場では、1958年に日本の工場でバービー人形が量産される様子が収められた記録映像を見ることができる。多くの工員は割烹着を着た女性で、手際よく丁寧にバービーの脚のつや出しをしたり、器用な手つきで一本一本の指にマニキュアを塗ったりしている。かつておもちゃが日本の輸出産業の花形だった時代の貴重な映像だ。

米国では女性が銀行口座を持つこともできなかった60年代に自分の家を買い、宇宙旅行をし、80年代には人種の多様性溢れるドールが登場、CEOにもなったバービー。90年代には大統領選に立候補、2000年代になると多様性と共生のメッセージを更に推進し、身体的な障害を持ったバービーや古典的でステレオタイプの美にとらわれないバービーが登場した。

バービーのデザイン性、メッセージ性を大人目線で深堀りしたエキシビションは見ごたえあり。バービー好きの子どもはもちろん、バービーにあまり興味のない大人でも楽しめる内容となっている。特設ショップでは人形やグッズの購入も可能。お見逃しなく。

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バービーの髪の毛で作られたシャンデリアが度肝を抜く展示室では、65周年のアニバーサリー・バービーの制作過程が紹介されているほか、動くバービーや様々な人種や文化的な特徴を持ったバービーなど、大人でも飽きない内容となっている。Photograph: Jo Underhill for the Design Museum
「何にだってなれる」との彼女のモットーの通り、人魚から宇宙飛行士まで、ありとあらゆる姿に変化するバービー。
左:初代よりも若さを意識して制作された「Twist N Turn Barbie Doll 1967」。右:大人のコレクター向けドール「Barbie Clasic Cllection 001 Model No.04, 2009」。
左:関節にヒンジをつけた最もフレキシブルな「Made to Move Barbie Doll, 2016」。右:アフロヘアと曲線美を強調した「Barbie Fashionistas ♯105, 2018 」。
もちろんバービーの恋人、歴代の「ケン」も展示されている。

Who is Barbie?

名前:バーバラ・ミリセント・ロバーツ
誕生日:3月9日
モットー:「You Can Be Anything」
家族構成:父ジョージ、母マーガレット、3人の妹/スキッパー、ステイシー、チェルシー


Barbie: The Exhibition

2025年2月23日(日)まで
The Design Museum
224–238 Kensington High Street, W8 6AG
月~木:午前10時~午後5時
金~日:午前10時~午後6時 
チケット:£14.38
https://designmuseum.org

週刊ジャーニー No.1351(2024年7月18日)掲載

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