
1959年に誕生して以来、世界150ヵ国以上で販売され、1分に100体以上、年間5800万体もの売り上げを誇る、バービー。そんなおもちゃ界のスーパースターが現在、ケンジントンのホランドパークに隣接するデザイン・ミュージアムに大集合している。
本エキシビションでは、バービーの歴史から制作秘話、時代ごとのデザインの移り変わりなどを180を越えるバービー人形や関連の品々とともに紹介。

入り口では、ガラスケースに入った貴重な初代バービーがお出迎え。バービーを販売する米国の玩具メーカー「マテル社」の共同設立者であるルース・ハンドラーは、1950年代に紙人形で熱心に遊ぶ自身の娘バーバラの姿をみて「小さな女の子は『お姉さん』になりたがっているんだわ」と考え、そのニーズに応える人形がないことに気づく。当時の人形は赤ちゃんのようなもので、女の子たちは可愛がりはするものの、憧れを抱くような存在ではなかった。そこで「ティーンエイジ・ファッションモデル」というコンセプトでバービー人形を開発。主婦のちょっとした気づきが、おもちゃの世界を一変させたのだ。ちなみに、バービーの名前は紙人形で遊んでいたルースの娘に由来している。
そんなバービーが実は最初に製作されたのは、なんと日本! 会場では、1958年に日本の工場でバービー人形が量産される様子が収められた記録映像を見ることができる。多くの工員は割烹着を着た女性で、手際よく丁寧にバービーの脚のつや出しをしたり、器用な手つきで一本一本の指にマニキュアを塗ったりしている。かつておもちゃが日本の輸出産業の花形だった時代の貴重な映像だ。
米国では女性が銀行口座を持つこともできなかった60年代に自分の家を買い、宇宙旅行をし、80年代には人種の多様性溢れるドールが登場、CEOにもなったバービー。90年代には大統領選に立候補、2000年代になると多様性と共生のメッセージを更に推進し、身体的な障害を持ったバービーや古典的でステレオタイプの美にとらわれないバービーが登場した。
バービーのデザイン性、メッセージ性を大人目線で深堀りしたエキシビションは見ごたえあり。バービー好きの子どもはもちろん、バービーにあまり興味のない大人でも楽しめる内容となっている。特設ショップでは人形やグッズの購入も可能。お見逃しなく。





Who is Barbie?
名前:バーバラ・ミリセント・ロバーツ
誕生日:3月9日
モットー:「You Can Be Anything」
家族構成:父ジョージ、母マーガレット、3人の妹/スキッパー、ステイシー、チェルシー
Barbie: The Exhibition
2025年2月23日(日)まで
The Design Museum
224–238 Kensington High Street, W8 6AG
月~木:午前10時~午後5時
金~日:午前10時~午後6時
チケット:£14.38
https://designmuseum.org
週刊ジャーニー No.1351(2024年7月18日)掲載