
パビリオンをデザインする建築家は世界中から毎年選出され、英建築家の故ザハ・ハディド氏が初回(2000年)を担当して以来、名立たる建築家やアーティストが設計を担当している。
チョウ氏による「Archipelagic Void(群島の空間)」と名づけられたパビリオンは、「マダン」と呼ばれる韓国の伝統的な家屋の中庭をイメージした中心の円形広場から、放射状に延びた異なる趣旨の5つの空間で構成されている。同氏は「様々な人々がそれぞれにお気に入りの場所を見つけて寛ぐことができ、また、島をつなぐ円に集い、人と出会うこともできる」と話し、このパビリオンの存在意義と可能性を示した。
この夏、日除けをしながらアイスクリームを頬張るもよし、雨宿りしながらお茶をするもよし。お散歩ついでに是非お立ち寄りを。(写真・文/ネイサン弘子)

Image credit: Serpentine Pavilion 2024 designed by Minsuk Cho, Mass Studies. Design render, view of void from the Gallery and Play Tower. Photo © Mass Studies, Courtesy: Serpentine.




サーペンタイン・サウス・ギャラリーで開催中
Yinka Shonibare CBE: Suspended States

サーペンタイン・パビリオンを訪れたなら、隣接する「サーペンタイン・サウス・ギャラリー」にも足を運んでみよう。
現在開催中のユニークなエキシビションは、ロンドンとナイジェリアのラゴスを拠点に活動するアーティスト、インカ・ショニバレ CBEの、ロンドンでは20年ぶりとなるソロ・エキシビションだ。
ショニバレの特徴的なアフリカン・プリントが多用された、一見カラフルで楽しく洒落た印象の作品群には、アフリカ系英国人であるアーティストならではのメッセージが込められている。かつては「Dutch wax print」と呼ばれた鮮やかなアフリカン・プリントは、インドネシアの伝統的なデザインにインスピレーションを得たもので、植民地時代のオランダ人によってアフリカで大量生産され、後に「アフリカン・プリント」と呼ばれるようになったという経緯があり、ヨーロッパとアフリカの関係性を象徴している。
この展覧会では、権力システムが戦渦の避難場所に与える影響、昨今の公共の彫像に関する議論、帝国主義が紛争とそれに伴う平和への試みに与えた影響などを問う新作が展示されている。
Serpentine South Gallery
無料、9月1日(日)まで
www.serpentinegalleries.org
Serpentine Pavilion, Archipelagic Void
Serpentine South Gallery W2 3XA
10月27日(日)まで
www.serpentinegalleries.org
週刊ジャーニー No.1347(2024年6月20日)掲載