
■ 街歩きをするだけで無数のストリートアートを楽しめる東ロンドンのショーディッチに、現代アーティスト「ギルバート&ジョージ」のギャラリーが今月、オープンした。
英国を代表する現代アーティスト、ギルバート&ジョージの作品が観賞できる専用ギャラリーが位置するのは、観光客や買い物客で賑わうブリック・レーンから一歩入ったすぐの場所。緑色の特徴的な門扉を構えるレンガ造りのこぢんまりとした建物は、繁華街にひっそりと佇む素敵な邸宅にお邪魔したような気分になるが、内部のギャラリーは広々として本格的。
同センターには、ギルバート&ジョージが制作した数千点に及ぶアート作品や書籍、写真、ビデオなどが収蔵されている。



オープニングの展示作品に選ばれたのは、2019年に制作された「THE PARADISICAL PICTURES」シリーズ。いつも揃いのスーツを着て飄々とした彼らの風貌とのギャップが激しい毒々しくサイケデリックな色彩に圧倒され、『楽園的な』幻想の世界に取り込まれるような感覚を覚えた。

自らを「リヴィング・スカルプチュア(生きる彫刻)」として作品に取り込み、80歳を過ぎた今も精力的に活動を続けつつ、「アートを全ての人に」と、入場無料で同センターをオープンさせた2人に敬意を払いたくなった。
(写真/文・ネイサン弘子)


週刊ジャーニー No.1288(2023年4月27日)掲載