
パビリオンをデザインする建築家は世界中から毎年選出され、英建築家の故ザハ・ハディド氏が初回(2000年)を担当して以来、中国人芸術家アイ・ウェイウェイ氏など名立たる建築家やアーティストが担当。日本からも、これまで伊東豊雄氏(2002年)、藤本壮介氏(2013年)、石上純也氏(2019年)らが選出されている。
パンデミックで開催されなかった2020年を除き、21回目となる今年のパビリオンを設計したのは、米国シカゴを拠点に活動するアーティスト、テスター・ゲイツ氏。
同氏により「ブラック・チャペル」と名づけられ、人々の瞑想と集会のためにデザインされたこのパビリオンは、ストーク・オン・トレントの瓶窯、米西部の蜂の巣窯、イタリアののテンピエット(円形堂)、カメルーンの泥小屋やウガンダのカ古墳などのアフリカ伝統構造物など、あらゆる伝統的な建築物からインスパイアされたものという。
まさに円形の礼拝堂のような漆黒のパビリオンの中に足を踏み入れると、天井にぽっかりと空いた穴から光が差し込み、暗闇に一点の陽だまりを形成していた。円、光、線からなるデザインは禅の世界観をも感じさせ、確かに、思わず目をつむり瞑想したくなる空間だった。
パビリオン内にはカフェが併設されており、敷地内のベンチや緑地で一休みできるのも嬉しい。公園歩きが気持ちいいこの季節、是非足を運んでみては。(写真・文/ネイサン弘子)

漆黒のお堂のような建物は、一見鉄製のように見えるが木造だ。外の眩しい日差しから一転して黒い世界に中に足を踏み入れると、木目と直線、天井の円と一点の陽だまりというシンプルながら効果的な演出が、心を穏やかにさせてくれる。

中には小さなカフェとベンチがあり、飲み物片手にくつろぐことができる。外のにもテーブルや椅子があり、公園の緑に映えるチャペルを眺めながら一服するのも一興だ。
サーペンタイン・サウス・ギャラリーで開催中 Dominique Gonzalez-Foerster: Alienarium 5

サーペンタイン・パビリオンを訪れたなら、隣接する「サーペンタイン・サウス・ギャラリー」で現在開催中のユニークなエキシビションにも足を運んでみよう。
世界的に活躍するフランスの現代美術作家、ドミニク・ゴンザレス=フォステールによる「エイリアナリウム5」なるこのエキシビション。同アーティストの数十年にわたるSFへの関心と宇宙や宇宙人についての継続的な研究の集大成だという。その関心をアートで余すところなく表現した空間は、まさに宇宙を土台にしたSFワールド。
円形の室内は音楽、文学、映画、建築、ポップカルチャーなど、幅広い分野から引用した人物やキャラクターで溢れ、草間彌生やアイヌの女性、写真家の荒木経惟撮影の女性などを見つけることもできる。
床には、それ自体が作品の一部である巨大なカーペット「Planet Carpet」と「Alienarium 5」(クッション)に座ることができ、じっくり鑑賞できる。VR体験コーナーもあり。
Serpentine South Gallery W2 3XA
無料、9月4日(日)まで
www.serpentinegalleries.org
Serpentine Pavilion, Black Chapel
Serpentine South Gallery W2 3XA
10月16日(日)まで
www.serpentinegalleries.org
週刊ジャーニー No.1247(2022年7月7日)掲載







