実業家サミュエル・コートールドが収集した美術コレクションを核に1932年にオープンしたコートールド・ギャラリーは、美術史や保存修復の研究機関である「The Courtauld Institute of Art」の展示施設。多くの観光客で賑わうナショナル・ギャラリーやテート・モダンなどの規模や存在感に比べると小規模ではあるが、美術の教科書に掲載されているような、多くの人が見覚えのある作品を多く所蔵する、美術ファンには知られた宝箱のような存在だ。
そんな名画の宝庫である同ギャラリーは、2018年9月から改装工事のために閉鎖。3年に渡る閉館中に同館のコレクションは日本へ出張し、2019年に東京都美術館で開催された「コートールド美術館展 魅惑の印象派」で公開され、多くの日本の美術ファンを魅了した。
今回の改装では、かつてロイヤル・アカデミー・オブ・アートの夏季展示が行われていたロンドン初の美術展示スペースである「グレート・ルーム」が当時の大きさに復元され、印象派およびポスト印象派の絵画コレクションのための新たな住まいとなった。老朽化していた他の展示室も美しく修復され、20世紀以降の美術を展示する「20世紀ギャラリー」が新設。また、以前は事務所などとして使用していたいくつかの小部屋も展示室へと変貌させ、より多くの所蔵品が展示されるようになった。さらにはアート感溢れる内装のカフェも新設。美術鑑賞に疲れたら一休みできるのが嬉しい。
なお現在、サマセット・ハウスでは屋外アイススケートリンクが営業中で、大きなツリーも飾られ、夜には美しくライトアップされている。芸術を堪能した後にアイススケートもいいかも。この機会に足を運んでみては?(下写真/文・ネイサン弘子)
コートールド・ギャラリーの見所
マネの遺作にして晩年の傑作「フォリー・ベルジェールのバー」。若く魅力溢れるすまし顔のバーテンダー、背後の鏡には活気溢れる19世紀のパリの夜が映し出され、華やかな時代の一瞬を切り取った本作には作品に没入してしまう魅力がある。
Information
The Courtauld GallerySomerset House, Strand, London WC2R 0RN
11月19日(金)より一般公開
月〜日: 午前10時〜午後6時
料金: 平日 =£9.00、週末=£11.00
18歳以下 無料
https://courtauld.ac.uk
週刊ジャーニー No.1215(2021年11月18日)掲載