野田秀樹新作舞台 NODA•MAP「正三角関係」世界配信決定
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常に学び、常に発見し続けた天才彫刻家 Isamu Noguchi

■ 20世紀を代表する彫刻家イサム・ノグチ。日本人の父と米国人の母を持ち、東洋と西洋の狭間に立ちながら、独自の芸術作品を生み出していった。現在、バービカン・アート・ギャラリーで、ヨーロッパで20年ぶりとなる回顧展が開催中。比類なき彫刻家の創作の過程を辿った。

自らを「彫刻家である」と語る一方、造園家、インテリアデザイナー、舞台芸術家としても名を馳せたイサム・ノグチ(1904~88)。その「万華鏡」の ような輝かしいキャリアを紐解く今回の回顧展。ノグチの代表作のひとつ「光の彫刻」として知られる照明器具「Akari」が会場全体を優しい光で包み込み、各作品に柔らかな陰影をもたらしている。

日本と米国、その間でアイデンティティの葛藤を抱えていたノグチは「2つの国籍と二重の生い立ちを持つ私のホームはどこにあったのだろう? 私の愛情は? 私のアイデンティティはどこにある? 日本なのか、アメリカなのか、どちらなのか、両方なのか──それとも世界なのか」と自問しながら、アートの中に自分のアイデンティティを見出していったという。

様々な角度から光を当て、ノグチの彫刻哲学を浮き彫りにした本展で見えてくるものは、生涯を通じ、常に新しいものを取り入れ、彫刻の在り方を探求し続けたノグチの姿。会場にそっと添えられた、天才彫刻家の語る言葉に寄り添いながら鑑賞してみると、ノグチと対話しているような…不思議とそんな気分になれるだろう。(写真・文/金子真弓)

ノグチは1927年、グッゲンハイム奨学金を得てパリに留学。こちらの4作品は、翌1928年に制作された初期作品。
「Miss Expanding Universe」(1932年)アルミニウムの質感と滑らかな曲線が美しい。
ポップな色合いが可愛い「Akari」(1954/1969年)。
「My Arizona」(1943年)。この年から、ノグチは「光」と「彫刻」を融合させた作品作りを開始。
「Walking Void」(1970年)円環の中には何もない空間が広がる。
©David Finn Archive, Department of Image Collections, National Gallery of Art Library, Washington, DC

もっと知りたい!イサム・ノグチ

●幼少期を日本で過ごし、米国、フランスで彫刻を学ぶ。
●20代後半に、北京を訪れ、滞在2ヵ月で水墨画をマスター。(※水墨画の展示あり)
●晩年は、札幌市「モエレ沼公園」の設計を手掛ける。マスタープランを完成させた直後の1988年12月、逝去。同地はノグチの遺志を継ぎ、17年かけて2005年に完成。

Information

Barbican Centre

Silk Street, London EC2Y 8DS

Noguchi

会場:バービカン・アート・ギャラリー(Level 3)
会期:2022年1月9日まで
会場時間:
日~水 午前10時~午後6時 (最終入場 午後5時)
木~土 午前10時~午後8時 (最終入場 午後7時)
祝日 正午~午後6時
休館日:12月24、25、26日
入場料:£18
https://www.barbican.org.uk/whats-on/2021/event/noguchi

週刊ジャーニー No.1212(2021年10月28日)掲載

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