「ブラック・ヒストリー・マンス」は1976年に米国で発祥し、1987年に英国でスタートしてから今年で34回目を迎える。期間中、学校では子供たちが英国の黒人史を学び、黒人の文化や歴史、重要人物に関するエキシビションなど、各地で様々なイベントが行われる。今年は「proud to be」キャンペーンを展開し、黒人として自分が誇れるものをSNSで共有しようと呼びかけている。 様々な人種が暮らすロンドンでは、民族衣装を身にまとった人を目にすることが少なくないが、ひときわカラフルで目に留まるのが、アフリカン・ファブリックの衣装を身にまとった人々。アフリカ文化への誇りが感じられると同時に、ろうけつ染めで染められた草花をモチーフにしたデザインや、鮮やかな幾何学模様は周囲の雰囲気までも明るくしてしまうようだ。 民族衣装だけにしておくのはもったいないとばかりに、『アフリカの誇り』を取り入れたインテリアやファッションも人気沸騰中。どこまでも派手な模様は、特にシンプルなインテリアや服装への『差し色』として取り入れやすく効果的。上級者は『柄x柄』の高度なコーディネートに挑戦してみるのもおもしろそう。幾多ものデザインの中からお気に入りをみつけて取り入れてみては?(写真=左頁・文/ネイサン弘子)
気分はアフリカ!Brixton 再発見
地下鉄ヴィクトリア線の終着駅、南ロンドンのブリクストンは、アフリカと密接な関わりを持つ。1940年代から50年代にかけ、西インド諸島から多くのアフリカ系カリビアンの移民が定住。1948年に到着した客船ウィンドラッシュ号では492人が入国し、ブリクストンにあったジョブセンター周辺の宿泊施設に広がり、コミュニティーを形成していった。
一方で一昔前までは注目を浴びていなかったこの街は、90年代頃から徐々にそのボヘミアンな魅力に人気が集まり、新しいショップやギャラリー、飲食店などがオープンすると、裕福なミドル・クラスの人口が増え始め、ジェントリフィケーション( 都市の富裕化現象)が進んだ。これによる家賃上昇が、もとの住人やローカルビジネスの締め出しに繋がると、一部で抗議の声が上がっている。
そんなブリクストンの一番の魅力は活気あるマーケット!青空マーケットにはアフリカ系の人々の衣食住に欠かせない商品を売る露店が連なり、ジャマイカ料理やアフリカ各国料理の屋台で賑わう。アフリカン食材や日用雑貨が雑多に積まれた店と、洒落たビストロや気の利いた小物を揃えたインテリア・ショップなどが屋根付きのアーケードの下に肩を並べるブリクストン・ヴィレッジ&マーケット・ロウ。ローカル・ビジネスを支援する「ポップ・ブリクストン」など、駅周辺には多様なマーケットが広がる。カード支払い不可の店舗も多いのでご留意を。
週刊ジャーニー No.1211(2021年10月21日)掲載