どれだけショボいか見てみたい!? Marble Arch Mound

■パンデミックの影響で人出が減ったロンドン中心部のウエスト・エンドに人を呼び戻すための起爆剤とすべく、7月下旬にオープンした人工丘「マーブル・アーチ・マウンド」。公開当初からの酷評ぶりに逆に興味をそそられた人々が続々と足を運び、賑いを見せている。(文/ネイサン弘子)

「税金の無駄遣い!」「ただの土砂」「ごみ」「90年代の古いビデオゲームのよう」…と、この人工丘に対する酷評の例は尽きない。
ウェストミンスター区議会のプロジェクトとして330万ポンドもの資金をかけて建設され、7月26日に鳴り物入りでオープンしたものの、わずか2日で「まだ完成していない」として一旦閉鎖、批判を受けて6.50ポンドの入場料を撤廃し、8月2日に再オープンとなるなど、当初から迷走しまくりの同アトラクション。入場料の収入が断たれたことで最終的な損失が600万ポンド(約9億円)にまで膨れ上がったことにより、プロジェクトの責任者であったウェストミンスター区議会の副リーダーであるメルビン・カプラン氏の辞任劇にまで発展した。
そんな話題づくしの場所に実際に訪れた人々やメディア、納税者らからの悪評ぶりがさらに話題となり、「どれだけ酷いか見てみたい」との好奇心に駆られて訪れた人々と共に、筆者も登ってみた。

ハイドパーク方面の景色。
ビルの7階ほどの高さ。
鉄骨で組まれた本体に土が張り付けられている。

工事現場感が強いと評される展望台。
足元を見ると丘の中が鉄骨組であることがわかる。

「街の中心で素晴らしいアウトドア体験を作り出す」との触れ込みの25メートルの丘の見た目は人工物そのもので、土砂の山でさえない。鉄骨で組まれた丘の角ばった斜面に張り付けられたのり面にちょびちょびと植えられた木や必死でへばりつく植物がこの先秋になり、来年1月の閉鎖までに完成予想図のように生い茂る姿になるとは想像し難い。鉄のフェンスや階段、頂上の展望台は工事現場のような印象を与えており、それらをウッドデッキで覆うことはできなかったのだろうか?などと素人ながらに疑問を感じた。さらにどうしても「9億円もの血税が投入された結果の代物がこれか…」という考えが終始頭をよぎってしまうが、360度の眺望にBTタワーやシャード、ロンドン・アイなども見え、それらを発見しながらの会話は弾む。無料だし、何かのついでに訪れてみてはいかが?

Marble Arch Mound

Cumberland Gate, London W1H 7EJ
2022年1月9日まで、入場無料、要予約
https://themarblearchmound.com

週刊ジャーニー No.1205(2021年9月9日)掲載