キノコ、カエル、泥や苔…、泥臭さが魅力的!? ゴブリンコア Goblincore

■ヨーロッパに伝わるいたずら好きの妖精「ゴブリン」が住むとされる森や泥臭い世界感に触発された美学とサブカルチャー「ゴブリンコア」。森に息づくキノコやカエルといったモチーフを取り入れたファッションやインテリアが今、人気を集めている。

田舎風で暖かみのある自然と隣り合わせの生活やライフスタイルを追及する美学「コテージコア」が本項で紹介されたのはちょうど1年前。コロナ禍で多くの人が都会的なライフスタイルを見直した中で強まった潮流だが、今回ご紹介する「ゴブリンコア」は、自然にさらに1歩踏み込んだスタイルといえそうだ。
最近我が家のティーンエイジャーが唐突にカエルのバケットハットを買いたいと言い出した時、「なぜカエル!? 幼児服の売り場にはありそうだけど…」と思ったのだが、実際にはオンラインで、カエルの目がついた女性用の帽子を容易に見つけることができた。
ゴブリンコアを広めるのに一役かっているのが、すっかり流行発信源のメインプラットフォームとなったショートビデオ投稿アプリ「TikTok」だ。9万人以上のフォロワーがいる@froggiecrocsは、自然界で醜いとされている『カオスで、汚れていて、泥臭い』部分をファッションをはじめ生活のあらゆる場面で独創的に取り入れて発信し、注目されている。
さらに、ユニークな商品を売買するグローバル・オンラインマーケット「Etsy」では、6月のゴブリンコア関連アイテムの検索数が昨年同時期と比較して、652%増加。森の動植物をモチーフにしたヴィーガン・ジュエリーを販売する「The Palm Tree」オーナーのジェーンさんは「ガーディアン」紙(電子版)のゴブリンコアに関する記事のインタビューの中で、「私は18ヵ月以上自分の作品の一部にゴブリンコアのタグを付けてきましたが、最近になって、カエル、カタツムリ、苔、キノコに関連するものが爆発的な人気になりました」と語った。同店の一番人気は苔、キノコ、シダをデザインしたイヤリングだという。他にも、マッシュルーム・アートを「TheMushroomBabes」で販売するイラストレーターのジョージアさんは、「(コテージコアでフィーチャーされる)野花や白いリネンのドレスは素晴らしいものですが、ゴブリンコアでは同じドレスを泥と苔で染め、カタツムリとナメクジが野花を食べるのを観察するのです」と、ガーディアン紙の同記事の中でその世界観を説明した。
キラキラとした自然に憧れるコテージコアに対し、ゴブリンコアはしばしリアルな自然の中で時間を過ごす人々のためのコテージコアともいわれる。コテージコアの理想郷である太陽に照らされた麦畑ではなく、危険を伴う森の中で時に嫌われる動植物が暮らす混沌とした世界で過ごす『ダークなコテージコア』とも呼ばれ、その美学にはオカルト的なものも含んでいるという。
実物のキノコやカエル、カタツムリなどを苦手とする人は多いが、デザインされたそれらの動植物はカワイイもの。これからの季節、秋らしい装いやインテリアに取り入れてみては? (文/ネイサン弘子)

週刊ジャーニー No.1203(2021年8月26日)掲載