「Fidget」には「そわそわする、せかせかする、いじくりまわす」などの意味があり、フィジェット・トイは、ストレスを軽減し、気持ちを落ち着かせることができるという単純な構造のおもちゃ。近年大流行したフィジェット・トイといえば、2017年にブームとなった羽をくるくる回す「フィジェット・スピナー」が記憶に新しいが、現在流行中のポピットは、シリコンの丸い突起を押してポンッと裏返すだけという、これまた単純な構造のおもちゃだ。梱包材のいわゆる『プチプチ』を想起させる。
ポピット・ブームの火付け役となったのは、スマホ向けのショートビデオSNS「TikTok」。TikTokでは「#popit」のハッシュタグ付ビデオが25億回以上再生されているという人気ぶり。
おもちゃやなどを扱うディスカウント店「The Works」のシニアバイヤーであるヘイレー・ドルマン氏はBBCのインタビューに対し、
「(ロックダウンにより)年始に店舗が閉鎖された苦しい状況にあった時も、今後このおもちゃが大流行すると信じ、2月初旬には空輸を開始し在庫を確保していました」と語った。
筆者がよく足を運ぶショッピング・モールでは最近ポピットのポップアップ・ストールが大盛況で、多くの子供たちが群がっている。
いつの間にか爆発的に広まり、急速に鎮まるおもちゃのブーム。ポピットも今度大量廃棄されるのではないかという予感がするが、そんな嫌な予感を払拭してくれるユニークなアイデアをある母親がTikTokで紹介し、話題になっている。アカウント名@Mumof5staysaneさんは、シリコン製のポピットの特性を生かし、チョコレートの型として利用、子供が喜びそうなチョコレート・バーを手作り。「メトロ紙」(電子版)は「試す場合は使用するポピットが(口にしても安全な)フード・セーフ製品であることを確認し、使う前に念入りに洗いましょう」と、注意点と共にこの母親のアイデアを紹介した。
我が家のポピットも飽きて放置されてもシリコン型として長く利用しようと思う。(文/ネイサン弘子)
週刊ジャーニー No.1197(2021年7月15日)掲載