『肉のない肉屋』がオープンしたのは、昨年11月1日の世界ヴィーガン・デー。英国初の100%ヴィーガン・ブッチャーとして話題を呼び、オープン初日には長い行列ができた。モノクロームでヒップな雰囲気の同店は、カムデン・マーケットにある、見た目は本物の肉そっくりなバーガーやホットドックなどの『ヴィーガン・ジャンクフード』を売りにしたレストラン「Rudy's Vegan Diner」の系列店。同レストランで提供されているパテやベーコン、パストラミやハムなどのヴィーガン・ミートが購入できるほか、サラダなどのデリ商品やデザートなども取り扱う。
同店のヴィーガン・ミートの主な原材料は大豆やセイタン。セイタンとは日本由来の代替肉で、小麦のグルテンを主原料とした食品。「グルテンが主原料」と言われても想像しにくいだろうが、みそ汁などに入れる「お麩」も小麦グルテンを原料とする食品で、日本では「お麩ミート(セイタン)」または「グルテンミート」と表記されることもある。ちなみにセイタンの名前の由来は「正しいタンパク質」。
形状や脂身の入り方まで本物のベーコンそっくりの「Baycon」と、「Dirty Burger Patties」を購入し、早速ヴィーガン・バーガーを作って食べてみた。パテとベーコンはいずれも香味野菜やハーブで風味づけされており、BBQソースのようなスモーキーな香りが食欲をそそる。パッケージの調理方法を見ると調理時間は短めで、パテは片面3~4分ずつ、ベーコンは片面30秒~1分ずつさっと焼くだけ。ベーコンを少々焼きすぎておせんべいのようになってしまったが、カリッカリのベーコンとむっちりとしたバーガーの食感がマッチし、味・ボリューム共に大満足。こんな店が家の近所にあれば、ミートフリー月間も容易く乗り切れそうだ。 (写真・文/ネイサン弘子)
Rudy's VEGAN BUTCHER
206 Upper St, Islington, London N1 1RQ
https://rudysvegan.com
週刊ジャーニー No.1170(2021年1月7日)掲載