ノスタルジックな世界を求めて コテージコア

■ 日々、新たなトレンドが生まれているソーシャル・メディアを中心に生活美学「コテージコア」が注目を集めている。一体何のこと? その背景は?

自然豊かな村に佇む藁葺き屋根のコテージ。四季折々の花が咲き乱れる庭では、リネンの洗濯物が優しく風に揺れる。ピクニックブランケットに腰を下ろして読書に耽っていると、キッチンからは焼き立てのパンの芳ばしい香りが漂ってくる…。
「コテージコア」とは、田舎の平和な暮らしを理想化させた視覚やライフスタイルにおける美学や文化運動。2018年ごろから密かに注目を集め、新型コロナによる不安定な社会環境の中で、田舎風で暖かみのある生活を目指す人が増えているという。
とは言っても、実際に田舎に引っ越すわけではない。ソーシャル・メディア(SNS)上では、郊外に出かけて森を散策したり、自然に囲まれた環境でピクニックやフォレジング(野生の食用植物を採集)を楽しんだりする姿が「cottagecore」のハッシュタグと共に投稿されている。それぞれが思う「コテージコア」な装いに身を包み、郷愁感を掻き立てるように加工した写真なども数多く並ぶ様子を見ると、現実はさておきSNS上だけでもその世界に浸っている人も多いのかも?
ブームになった理由として、ネット社会にどっぷり浸る若い世代や、ロックダウンによって室内での生活を強いられ、リモートワークによって四六時中パソコンと向き合うようになった人が、牧歌的なライフスタイルに癒しを求め、暖かみのあるノスタルジックな世界観に憧れた結果と言えそう。
各メディアでも、「コテージコアのためのファッション」として、花柄やパフ・スリーブなどのワンピースを紹介。コテージコアを演出するのにぴったりのアクセサリーやインテリアなども取り上げられている。
田舎育ちの筆者にとって、田舎生活といえば牛の糞や不便さもついてくるので、キレイ事だけで語れるものではないけれど、自然に触れ、生活習慣を見直す良い機会になりそう。 (文/西村千秋)

週刊ジャーニー No.1151(2020年8月20日)掲載