ソファでのんびり知識試し オンライン・パブクイズ

■ 英国人が愛してやまない「パブ」と「クイズ」が合体したパブクイズ。ロックダウン下でパブの休業が継続する中、オンライン・パブクイズ大会が盛り上がりを見せている。
ポップなデザインが目を引く「Camden Town Brewery」では、インスタグラムでパブクイズを開催すると同時に、新型ウイルスにより苦境に立たされたサービス業を支援するための募金を呼び掛けている(同社インスタグラムより)。

1962年放送開始の大学対抗クイズ番組「University Challenge」や、世界各国版が制作される「Who Wants to Be a Millionaire?」などのテレビ番組が人気を博するなど、英国人のクイズ好きは周知のとおり。テレビに応募せずとも一般の人々が気軽に参加できるクイズイベントが、街中のパブで開催されるパブクイズだ。主に平日の夜の集客イベントとして行われ、通常は少額の参加費を支払いグループ単位で参加。配られた紙に回答を書き込み、最後に正解数が集計されて優勝グループが決まるというもの。通いなれたパブで気心の知れた仲間と酒を酌み交わしながら「ああでもないこうでもない」と知識試しをする…そんな穏やかな時間は、ロックダウンによりお預け中だ。

会議も授業も飲み会もオンラインで行われる中、パブクイズもオンラインに移行し、自宅で各々グラスを傾けながら知恵をしぼる人が増えている。

主なプラットフォームは、新型ウイルスにより利用者が激増したコミュニケーション・ソフトウェア「Zoom」と、フェイスブックやインスタグラムなどSNSでのライブ配信。Zoomでは主に友人や同僚などの知り合い同士で開催。クイズ問題はオンライン上に数多くあり、簡単に準備することが可能だ。「インディペンデント」紙による特集記事「Zoomでできるベスト・ゲーム」では、ロンドン在住のダニ・ボールさんの体験談を紹介。ダニさんは2週間の自主隔離中にZoomでパブクイズ形式のクイズ大会をすることを思いつき、フェイスブックの友人にイベントを拡散。すると個人参加のほか、家族やフラットメイトのグループら、総勢30組もの参加者が集い、人恋しさを紛らわすことができたのだそう。もちろんパブやブリュワリー各社のオンライン・パブクイズも盛況だ。

パブクイズ経験のない筆者も、誰でも気軽に参加できるフェイスブックのパブクイズに挑戦してみた。まずはフェイスブック上でパブクイズの公開グループを検索し、参加人数や基本情報を参考にグループを選び、参加をリクエスト。筆者が参加したグループは、ロックダウン後の3月25日に発足し、現在メンバーは4500人ほど。毎週水金の夜にライブ配信し、その都度数百人の参加者が集っている。画面に映るのは出題する主催者ひとりだが、クイズの途中にも「テネリフェからこんばんは!」「後ろの花束がきれいだね!」など、参加者からのコメントが流れ、パソコンの向こうのどこかの街で自分と同じように画面に向かいながら頭をひねる多くの人々の存在とつながりを感じ、少し心が温かくなった。
スポーツ、歴史、芸能など計6ジャンル、それぞれ10問ずつ出題され、最後に答え合わせが行われる。英語が理解できない、または理解できても答えがわからない問題も多かったが、答えられなくともプレッシャーがないから気楽なもの。また、ライブ配信後には動画がシェアされるので、リアルタイムで参加せずともまずは動画を流し見しながらの腕試しも可能だ。

いざロックダウンが解除され、パブが再開された折には、親しい友人たちとお気に入りのパブにでかけ、リアル・パブクイズに挑戦してみるのもいいかもしれない。(文/ネイサン弘子)

週刊ジャーニー No.1138(2020年5月21日)掲載