日本の伝統衣装がダイナミックに進化!V&AでKimono展 Kimono: Kyoto to Catwalk

写真中央の着物が、YOSHIKIが手がける着物ブランド「YOSHIKIMONO」の作品。
■ 江戸時代から現代に至るまでの着物の変遷をたどる展覧会がヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(以下V&A)で開催中だ。昨今は袖を通す機会が少なくなってしまった日本の民族衣装をロンドンにいながらにして堪能できるとあって、早速足を運んだ。

今回の展覧会にあたり、V&Aの所蔵品からはもちろんのこと、個人や日本の博物館などから着物や関連する品々、合わせて300点以上が集められた。江戸時代から現代までを時系列で並べ、江戸時代以降の着物の歩みを、日本を飛び出して世界のファッションや芸術へ影響を与えていった経緯も含めてわかりやすく紹介している。

江戸時代の着物や帯が、広い海と時の隔たりを超えて目の前に並んでいると思うとそれだけで感慨深い。さらに浮世絵や本などの展示資料により、ファッションとしての現代との共通点や、同じ江戸時代の装いでも武家、商家、歌舞伎などの芸能、花街など身分や階層によってそれぞれ異なる美意識や好みが反映されてきたことなどがわかって面白い。例えば、流行の着物模様を冊子にまとめた雛形本は現代のファッションカタログのようだし、袖や背中に詩的な文字を入れた着物にはプリントTシャツに似た感覚が漂う。当時のインフルエンサーは商家の娘たちだったらしく、厳しいしきたりの中で暮らす武家の娘が彼女らのスタイルを真似ることもあったそうだ。

着物をヒントに作られた、有名デザイナーらによる作品も数多く並ぶ。

芸術とデザインを専門分野とするV&Aには無料常設展示の日本コーナーにも着物はあるのだが、すべて平面に吊るす形式。一方、このキモノ展では実際にマネキンに着せた展示も多く、着物を立体的な衣服として眺めることができる。伝統的な着物の着付けを担当した「Kimono de Go」の佐藤まみ子さんに伺ったところ、貴重な保存資料でもある古い着物を傷めないように紐一本を使うにもとても気を遣ったとのことだった。また、英国のマネキンは大柄で胸や腰のくびれが大きいため、美しく着付けるのは一苦労だったそう。

フレディー・マーキュリーが所有した着物(左)やスター・ウォーズで使われた衣装(右)も!

日本や海外の有名現代デザイナーらによる着物や着物風のファッションを一堂に集めた最後の展示室も見どころだ。YOSHIKIが手がけた独創的な着物やマドンナなど著名人が着た衣装などが注目される。SF映画「スターウォーズ」の衣装の隣に、監督のジョージ・ルーカスに影響を与えた作品として黒澤明監督の白黒映画「椿三十郎」の衣装が並んでいるのが映画ファンとしては嬉しかった。

伝統を重んじる厳格さが存在する一方で、ルールにとらわれない大胆な変貌をも遂げられる着物。その懐の深さ、裾野の広さが感じられる展覧会だ。 (文/名越美千代)

Kimono: Kyoto to Catwalk

V&A, Cromwell Road, London SW7 2RL
6月21日(日)まで/チケット:16ポンド
www.vam.ac.uk/exhibitions/kimono-kyoto-to-catwalk

週刊ジャーニー No.1127(2020年3月5日)掲載