英国のデパートについてもっと知りたい! ロンドン・ファッションのトレンド発信地、あるいは伝統を誇る老舗など、英国のデパートにはそれぞれ特徴がありますが、何となく知ってはいても、いざ誰かに説明するとなるとモゴモゴモゴ…。そこで今回は、日本人に人気のハロッズ、セルフリッジズ、リバティ、フォートナム&メイソンの4店の特徴を、個人的な意見を交えてご紹介したいと思います。

Harrods

Harrods全体イメージ

総売り場面積は東京ドーム(建築面積・46,755平米)の約2倍、90,000平米だという英国最大のデパート。ファッションや化粧品、家庭用品など、300以上の専門店が出店する老舗中の老舗です。
1824年に創業者のチャールズ・ヘンリー・ハロッドが洋服店、生地商として商売をスタート。その後、紅茶に特別な興味を示したハロッドが、1834年に食品雑貨の小売店を立ち上げたのが現在のハロッズの原型とされています。ですが、現在の場所で開業したのは1849年からなので、創業がこの年だとする見方もあります。

創業以来5人のオーナーにより運営されてきましたが、モットーである「あらゆる商品を、あらゆる人々へ、あらゆる場所へ(Omnia Omnibus Ubique-ラテン語)」の精神は脈々と受け継がれ、オーナーが変わっても大きな変化はされなかったというか、一定した老舗の風格を守っているように感じます。
オスカー・ワイルドをはじめ、チャーリー・チャップリン、ヴィヴィアン・リーなどの著名人が顧客になったことや、王室御用達の称号を授かったことをご存知の方もいるのではないでしょうか? 英国紳士や淑女から愛される老舗なだけに、客層は定番や歴史の重みを大事にする『有閑マダム』が多いようです。
濃いグリーンの「ハロッズ色」でお馴染みのオリジナルの商品は日本へのお土産の定番。人気のショッピング・バッグや紅茶(通はお気に入りの番号まで覚えているのだそうです)、そしてテディ・ベアなど、お決まりの英国のお土産を購入するにはもってこい。ぬいぐるみやバッグなどは2ndフロアにある「ハロッズ・ギフト・ショップ」に、お菓子やお茶などはグランドフロアにまとまっています。
児童小説「くまのプーさん」の中で、著者の息子クリストファー・ロビンの1歳の誕生日にプレゼントされたくまのぬいぐるみ(プーさん)を買ったのがハロッズ。英国人の中に、世代を超え、当たり前に存在しているのがハロッズなのかもしれません。

伝統を重んじる老舗ですが、ハロッズ・リワード・カード(Reward Card)と呼ばれるメンバー・カードを導入するという新しい試みも。メンバーになるのが条件ですが、購入金額1ポンドごとに1ポイントが貯まります。500ポイントで5ポンドがカードに加算され、買い物の際に使用可能です。そのほかメンバー向けに割引の案内やセール情報をメールなどで送ってくれます。

87-135 Brompton Rd, Knightsbridge, London SW1X 7XL

Selfridges(London店)

1909年3月15日に開業、売り場面積が50,000平米で、ハロッズに次いで2番目に大きい英国のデパート。創業者の米国人実業家ハリー・ゴードン・セルフリッジについては、その半生が2013年にITVのドラマ「Mr. Selfridge」で放送されていました。伝統に縛られない外国人ならではの発想が、現在の礎になっているのかもと思わせるような内容でした。

草間イメージセルフリッジズのロンドン店は、その建築でも知られ観光客が写真を撮りたくなる外観です。シカゴの百貨店マーシャル・フィールドを手掛けた米国人建築家、ダニエル・バーナム設計の見事な支柱で支えられた威風堂々の構えです。正面玄関の上にある時計と彫像もランドマーク。そのひさしには、イベントやクリスマスの飾りつけが施されて、草間彌生とルイ・ヴィトンがコラボした際のイベントでは、赤地に白の水玉のドレスを着た草間彌生の巨大オブジェが登場したのは衝撃的でした。
ウィンドーを彩るディスプレイにも凝っていて、コンテンポラリーのアート作品を見ているようで、時々理解が難しい作品もありますが、決して飽きさせない心意気を感じます。
ハロッズに比べてややリラックスした雰囲気で、常に色んなイベントが開催されています。デパート内に映画館やシアターを作ったりファッション・ブランドとコラボした来場者体験型の企画に積極的に取り組んだりするのもセルフリッジズらしさ。ファッションもバラエティに富んでいるので、オシャレに敏感な人はこちらに足を向けるのでは。この黄色いショッピング・バッグは街中で目を引きます。 Selfridges(London店)全体イメージ

1998年にグレーター・マンチェスターのトラフォード店、2002年にマンチェスター市内中心部のエクスチェンジ・スクエア店、2003年には、バーミンガムのブル・リング店の3店舗が新たに開業しています。
ポイントなどを貯められるロイヤリティ・カードなどはないので、セールなどの情報はメーリングリストに登録しておくと便利かも。

400 Oxford Street,London, W1A 1AB

Liberty

ロンドンの中心、ソーホーに位置するリバティー。1875年、アーサー・ラセンビィ・リバティ (Arthur Lasenby Liberty) によって、日本や東洋の装飾品、織物、その他様々な芸術工芸品を販売する店として開業。その後、織物によって特に知られるようになりましたが、それは19世紀末から20世紀初頭にかけてヨーロッパを中心に開花したアール・ヌーヴォー(新しい芸術)を取り入れたデザインがお店の代名詞となったことが大きいと思われます。花や植物などのモチーフや自由曲線の組み合わせによる従来の様式にとらわれないデザインを追求した美術様式を商品に取り入れ、「リバティ・スタイル」「リバティ・プリント」として定着。パッチワークが趣味な友達からは、帰国のたびにリバティの生地を頼まれます。

Liberty全体イメージ

黒い柱が目をひくチューダー様式の外観は「今、イギリスにいるんだな~」と見上げるたびに実感させてくれます。建物内も木材なので暖かみがあります。また、各階の天井はチューダー独特で低いのですが、店内の真ん中が吹き抜けになっていて各フロアからの見晴らしもよくゆったりしていて圧迫感はありません。歩くたびにミシミシ軋む床や階段からは歴史の重みが感じられ、これが好きという人もいますが、個人的にはこの国に地震がなくてよかったと思わずにはいられません。

リバティ・プリントが施された、生地や食器のほか、ボタン入れや裁縫箱、針山など小物も充実しているので、買い物を楽しむだけでなく、編み物やパッチワークなど手芸教室(Liberty Sewing School)に参加するのもいいかも。
Liberty Royalityと呼ばれるポイント・カードも発行しています。登録するとメンバー向けの割引やイベントへの招待、セール情報をいち早く入手することができます。

Regent Street, London, W1B 5AH

Fortnum & Mason

紅茶やワイン、ビスケット、ティーセットと、「食」に特化した百貨店として知られるフォートナム&メイソン。英王室の御用達として、食料品を中心とした品ぞろえで親しまれています。創業は1707年。ウィリアム・フォートナムとヒュー・メイソンの2人の名前をとって、フォートナム&メイソンと呼ばれていますが、フォートナムズと呼ばれることも。
日本にも支社(フォートナム・アンド・メイソン・ジャパン)があり、三越や高島屋などで取り扱われているため英国の老舗の味が日本でも手に入るようになりました。

Fortnum & Mason全体イメージ

フォートナムズと言えば、紅茶。その種類は数知れず、好みの紅茶に絶対に出会えるはず! そのほか、コーヒー、チョコレート、ジャム、サーモンから、ティーカップやキャンドルまで、ダイニングに必要な良品がそろっています。質のよさはもちろんですが、センスのよい上品な品々を販売する店内は、一見の価値ありです。
ロンドン中心部、ピカデリー・サーカスにある本店のレストラン「ザ・ダイヤモンド・ジュビリー・ティー・サロン」もおすすめ。スコーンやサンドイッチがのった3段重ねのトレーを前に、優雅にアフタヌーン・ティーをしていると、浮世のしがらみから解放される…気がします。
ほかに、セント・パンクラス駅構内の支店でのアフタヌーン・ティー、ヒースロー・ターミナル5のレストランと規模は拡大中。本店に行けなかったら、こちらに寄ってみるのもいいかも。

フォートナムズといえば、食料品と同じくらい有名なのが自社ブランドのパッケージなどで使われている、きれいなミントグリーンの色。フォートナムズの顔ともいえるこの色は、「オ・デ・ニール(Eau de Nil/ナイルの水)」という素敵な名前で呼ばれています。1858年に英国の探検家ジョン・スピークがナイル川の源泉となる湖を発見した際、ヴィクトリア女王の名まえにちなんみヴィクトリア湖と命名。その湖の色に由来するのだそうです。他にローラ・アシュレイもこの色を商品に使っていますが、さわやかで上品な色ですよね。

Vanイメージ

デリバリーも行っている当店のバンの色もこれ。天気が悪い日が多く、どんよりした街を颯爽と走る姿に出会うと、ウキウキした気持ちになれます(デリバリーは、5.95ポンド~)。

181 Piccadilly,London,W1A 1ER

以上、デパート情報でした。ロンドンのデパートをぜひお楽しみください。(編集部 テンテン)
※情報は2017年10月13日現在。