■野球に興味を持つ人が少ない英国でも、世界的なアスリート「大谷翔平」の存在は見て見ぬふりが出来ないほど大きな存在になりつつあるようだ。ポストシーズン開幕直前の4日、英紙「ガーディアン」が大谷翔平を「謙虚で究極の普通の大スターはいかにして野球の大舞台に立ったのか?」というタイトルで大々的に取り上げた。ロサンゼルス在住のクレア・ド・ルーン氏の記事を一部抜粋で引き続きお届けする。

こうした理由からか大谷の完璧すぎるほど良過ぎるイメージを「本当は違うのではないか」と疑っていた人々は春季トレーニング中に起こった「スキャンダル」に安堵したかもしれない。大谷の親友で長年の通訳が絡んだ賭博スキャンダルの中心に彼が立たされたからだ。しかし期待されたような劇的な展開とはほど遠く真相はあまりにも平凡だった。捜査の結果、彼は信頼していた人物による裏切りの被害者であることが明らかになった。その人物は大谷から1600万ドルを盗み、その資金を違法な賭博の借金返済に充てたとして起訴された。このような衝撃的な体験の中、並みの人間であればキャリアに支障をきたしてもおかしくない。特に7億ドルという巨額契約のプレッシャーを抱え、時代遅れになりつつあるスポーツを救う存在と称されている選手であればなおさらだ。
多くの人が大谷の冷静で敬意を持った振る舞いは日本文化の影響だと指摘するがそれは部分的には正しいかもしれない。しかし私が特に強い印象を受けるのは彼の飄々とした自然体と陽気さだ。それは彼ほどの競技者にはあまり見られない特徴であり、単に地理的な背景では説明できない性格だ。ドジャースの三塁手マックス・マンシーはこう語る。「彼はまるで大人の体を持った子どものようだ。彼は物事をあまり深刻に受け取らず楽しむのが好きなんだ。いつも笑顔で、いつも冗談を言おうとする。もし彼のことを良く知らない人が彼を初めて見たらそんなに大物だとは思わないだろうね」。大谷と親しい関係を築いた左翼手テオスカー・ヘルナンデスも同意見だ。「彼は座って話すといつも楽しいよ。冗談をいっぱい言うし、いい奴さ。みんなは彼を静かで真面目な人だと思っているけど、実際はその反対だ。ただ彼は一歩、フィールドに足を踏み入れるととても集中するんだ」と話す。
ショートストップのミゲル・ロハスは大谷がロサンゼルスに来た時、あまりにも普通で自然体であることに驚いたと語る。「彼はいつも笑っているし、チームメイトと知り合うことに興味を持っている。彼は相手が好きな事を興味を持って聞いてくるし、自分が好きな事についても話す。とても普通で地に足のついた男だ」。ドジャースのロバーツ監督は大谷を「職人気質」と表現し「とても敬意を持っていて、非常に謙虚で、みんなを平等に扱う」と語る。
イーベルはクラブハウスの中で耳にしたエピソードをいくつか紹介した。ヘルナンデスが母国ドミニカ共和国の話と大谷の日本の話を交換していることや、話を聞いた全員が大谷に対して本当に好意を抱いていることなどだ。彼らが語っているのが世界で最も有名なアスリートの一人だというのはなかなか信じがたい。そこでイーベルに「これが本当の大谷翔平だと思うか」と尋ねると彼は身を乗り出してこう言った。「それが彼なんだ。彼は本当に心の底から思いやりを持った人間で、ただ大谷翔平という一人の人間でありたいと思っているんだよ」。By週刊ジャーニー (Japan Journals Ltd London)
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https://www.theguardian.com/sport/2024/oct/04/shohei-ohtani-teammates-normal-humble-dodgers-star