■英国を代表する焼き菓子のひとつ、スコーン。これを食す際、クロテッドクリームとジャムのどちらを先に塗るかという問題については500年近く結論が出ていない。この論争にそろそろ決着をつけられないかと「デイリー・メール」紙が3人の科学者に意見を求めた。

■「クリームが先だ」説
物質の流動と変形に関する研究をしている人たちはクロテッドクリームとジャムの塗りやすさを検証するために科学的実験を行った。分析の結果、クロテッドクリームはジャムよりも粘性が高く硬いため、動かすにはより多くの力が必要だと主張。この理屈をもとにクロテッドクリームを先に塗るデヴォン式が正しいと結論づけた。研究者は「ジャムに備えてしっかりとした土台を作るためには、まずクロテッドクリームをスコーンに塗る必要があるということだ」と理系人間らしい真面目な表情で説明した。
■「順番より量だ」説
一方、ロンドン・サウスバンク大学ナショナルベーカリースクールのクリスティアーナ・ソリナス氏は「塗りやすさ以上に考慮すべき要素がある」と主張する。ソリナス氏は「ジャムとクリームの質感や一貫性がスコーンを噛んだ時の食感に影響を与えるだろう。ジャムは粘着性や滑らかな感触を与え、クリームはリッチでベルベットのような食感を与える可能性がある」と説明する。ソリナス氏はクリームとジャムを塗る順序よりも重要なのはその比率だと主張する。「ジャムとクリームの比率は順序よりも明らかに重要だ。なぜならそれぞれが異なる食感や風味をもたらすから。とても甘いジャムや苦味のあるジャムを想像してみて欲しい。そんなもの、誰も多く塗りたくないだろう。クリームの『中立的な風味』がそれを和らげるだろうが限度がある。クリームとジャム、どちらかが多すぎると全体の口当たりや味に悪影響を与える可能性がある」と語る。いや先生、量じゃなくて塗る順番のことを聞いているんですが。
ソリナス氏は構わず続ける。「スコーン自体の鮮度がとても重要な役割を果たす。新鮮なスコーンは柔らかく、ややほろほろと崩れやすく、温かいことが多く、これがスコーン全体の印象に大きく関係するだろう。逆に、時間が経ったり乾燥したスコーンはジャムとクリームの比率に関係なく、食感や味に悪影響を与える可能性がある」と語った。いや、だから順番は?と恐るおそる尋ねるとソリナス氏は突然バッサリ結論を語った。「デヴォンの人々が正しい。私にとって重要なのは見た目。だってせっかくの鮮やかな赤いイチゴジャムをクリームの下に隠す意味が分からないもの」。それは科学と言うより、もはや個人の感想。
■「ジャムが先だ」説
しかし誰もがソリナス氏の意見に同意するわけではない。オックスフォード大学実験心理学のチャールズ・スペンス教授はコーンウォール派(ジャムが先)だ。スペンス教授は「クリームはジャムの上に置くのが一番だ。我々の脳はエネルギー密度に引き寄せられる。クリームはジャムよりもエネルギー密度が高い。また我々の脳はクリーミーでオイリーな食品による口腔コーティングの感覚を好む傾向がある。従ってまず最初にそれを楽しむべきだ。しかしそもそもその順番が本当に必要かどうか、さらなる研究が必要だ」と元も子もないお言葉で締めくっていただいた。
■数学者まで出て来た
2013年、シェフィールド大学のユージニア・チェン博士は完璧なクリームティーの数学的公式を考案したと主張した。数式の考案にあたり博士はジャムを先に塗るコーンウォール方式を用いた。その結果、最適な重量比は2:1:1であり、平均70グラムのスコーンにはジャム35グラムとクロテッドクリーム35グラムが最適であると結論付けた。また理想的なスコーンの厚さは28ミリ。ジャムは2.3ミリでクロテッドクリームは4ミリとした。ただし博士はコーンウォール式の方が正しいと言っている訳ではない。ということで科学者や数学者が超真面目にスコーンと向き合うも結局結論は出ず。スコーン論争はたぶん永遠に続く。By週刊ジャーニー (Japan Journals Ltd London)








































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